なぜ外食産業などの飲食業界の労働環境のブラック化が加速し続けているのか?

なぜ外食産業などの飲食業界の労働環境のブラック化が、近年の日本で加速し続けているのでしょうか?

結論から言えば、日本の外食産業や飲食業界は非常に労働集約的・労働依存的な構造であったため、少子化と人手不足により、現在のままの旧時代的な経営方法では、その根幹から崩壊してしまうということです。

非常に労働集約的で労働依存的な日本の外食産業

現在の日本の外食産業や飲食業界は非常に労働集約的な構造の産業です。

日本の外食産業や飲食業界がいかに労働集約的な構造であるか、一般的なファミリーレストランを例に考えてみます。

ウェイターがテーブルに行って注文を取り、食事の皿を各テーブルに運び、食べ終わった後には食後の皿を片付ける。レジではレジ係が会計に対応し支払いを受け取る。そして厨房では調理補助やがウェイターの片付けた食器を手洗いし、食材を仕分け・準備し、調理スタッフは機械的なマニュアルに沿って料理を温めて焼くなどの調理を行う。そして合間の時間には掃除や整理をして店内や厨房内を常に清潔に保たなければならない。

この様にレストラン業務を並べていくだけで、たった一店舗のファミレスを運営する為に、一体どれだけ多くの人間の人手や労力が必要なのか分ると思います。

しかも、近年になってようやく営業時間の見直しが進みつつありますが、ロイヤルホストやガストなど、かつては多くのファミリーレストランが24時間営業だったのです。

この様なファミリーレストランを24時間休まず営業し続けるというのは、すさまじい労働力を要することです。しかし、今までの時代の日本は若く安価な労働力が豊富にあったために、それが可能であったのです。

外食産業は低時給の若者や学生バイトで支えられていた

ファミリーレストランなどこの様な労働集約的な外食産業や飲食産業を支えていたのは、かつては低時給のフリーターの若者や大学生や高校生などのアルバイトの学生でした。

1990年代から本格化した少子化の影響が労働市場に表れる以前の2,000年代までの日本では20代の若者達が街に溢れ、また大学進学率が大きく上昇したことで、高卒後すぐに会社に就職するのではなく大学生もしくはフリーターというモラトリアムの期間を経るという生き方が一般的なものとなっていました。

この結果、大学生バイトやフリーターなどの20代の若者の労働力が、労働市場へと豊富に供給され続けることになりました。

彼らの大半はフリーターとして親元で暮らす、または学生として親から仕送りを受けて生活している身分でしたので、経済的に自活し自分の生活を支えるだけの十分な賃金や給与には、それほどこだわりを持っていませんでした。

経済的に独立して自活していれば「時給800円の労働なんて、そんな低賃金では暮らしていけない」となるのですが、彼らは親からの経済的な援助を受けて衣食住事足りていましたので、飲食産業や外食産業では一般的な1,000円以下の低賃金でも十分に暮らして行くことが出来ましたし、大半は賃金に文句も言うことなく働いていたのでした。

この様な若く低時給の労働力が、「ファミリーレストラン」という日本独自の外食産業の文化を守っていたのです。

ファミレスという世界でも日本だけの独特の外食産業

安い価格でお手軽にレストランの様に様々なメニューを楽しむことの出来る「ファミレス」は世界でも日本だけの独特の外食産業です。

アメリカでもヨーロッパでも、海外では「レストランはそれなりの高い金額を払って利用するもの」という社会通念があります。

日本のファミレスの様に一般庶民や肉体労働の労働者が日常的に食事をすることの出来る場所ではなく、価格帯の面でもそれ以外の面でも敷居が高く、それなりのお金を手にした金持ちの成功者が利用する場所、もしくは庶民にとっては結婚記念日など年に数度の特別なイベントで利用する場所、それが海外における「レストラン」の概念なのです。

もちろんアメリカやヨーロッパにも庶民向けの安価な外食サービスとしてマクドナルドやピザハットなどはありますが、あくまでもハンバーガー屋でありピザ屋であり、提供するメニューを一部の品目に絞って業務を効率化することにより安価での食事の提供を可能にしています。そして接客サービスなども「それなり」です。

日本のファミレスの様に、安い価格帯で様々なメニューが楽しめるレストラン、しかも日本では「お客様は神様です」の精神でファミレスで働く様な低時給のバイトやパートに対しても接客サービスの要求水準が高く、海外の高級レストラン並みに接客サービスの質が高い。これは海外から日本に来た外国人にとってはカルチャーショックですらあります。

そして、なぜ日本でのみこの様なファミレスという形態が可能であったかというと、低賃金で働かせることの出来る親の経済的な庇護の下にあるフリーターや学生バイトの若者が、日本では豊富にいたからです。

アメリカや欧州では独立・自立の意識が高く、「大学に行くなら自分で金を稼げ」「ハイスクールを卒業したら家を出ろ」という価値観が当たり前ですので、若者であっても親元に依存せずに経済的に自活しなければならず、その結果、日本の外食産業で働くアルバイターの様な、経済的に自活不可能なレベルの低賃金で働くという選択肢は最初から持てないわけです。

少子化と人手不足で既存外食産業には破綻の未来しかない

しかし、この様にフリーターや学生バイトなどの若者の豊富な低賃金労働によって支えられてきた既存の外食産業・飲食産業は、少子化とその結果の若者不足・人手不足によって、その産業構造の根本から破綻を避け得ない状況となりつつあります。

以下のグラフは内閣府が「平成24年版 子ども・若者白書」で公表した30歳未満(29歳以下)の若者人口の推移です。

子ども・若者人口の現状と推移 – 内閣府
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h24honpenhtml/html/honpen/b1_sho1_1.html

子ども・若者人口の推移を見ると,昭和50年以降ほぼ一貫して減少している。また,総人口に占める子ども・若者人口の割合も,昭和49年に初めて半数を下回り,その後も低下を続けている。平成23年は28.5%で,前年に比べ0.3ポイント低下した。

この様に日本では20代の若者人口が右肩下がりで減少し続けている状況が続いており、若者が日本中に溢れ返っていた2000年代までとは異なり、2010年代以降の日本では20代の若者人口は非常に少なくなっています。

現在のままの「安い労働力を大量に働かせて、幅広い顧客層にお手軽な価格帯の飲食サービスを提供する」という旧時代的な経営方法では、ファミリーレストランなどの多くの外食産業・飲食産業は、壊滅を余儀なくされると考えて間違いありません。

少子化によって先細りし続ける労働力が、日本の外食産業・飲食産業の独特の労働集約的な産業形態を支えきれなくなってきているのです。

すでに24時間営業は維持出来なくなってきた外食産業

この様な旧来的な日本の外食産業・飲食業界の崩壊はすでに目前に迫りつつあります。多くのファミリーレストランで24時間営業を維持することが出来なくなりはじめているのです。

ファミレス「24時間営業」撤退、はたして「生産性」は上がるのか? – 講談社
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50683

「ガスト」や「ジョナサン」を展開するすかいらーくは昨年12月、深夜営業を大幅に縮小すると発表した。

同社はファミレスを全国で約2500店舗展開しているが、このうち約400店が24時間営業、約600店が深夜2時以降までの営業だった。このうち約750店舗について、2017年1月中旬から順次、深夜2時閉店、朝7時開店に移行する。同じ時期、「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングスも24時間営業の廃止を決定している。

しかし、これは外食産業・飲食業界の崩壊の序章に過ぎません。5年後・10年後には、旧来的な経営方法の外食チェーンの多くが既存の店舗の大半を維持することすら出来なくなる時代となります。

崩壊必至の飲食業界からは出来るだけ早く脱出するべき

もしも飲食業界に勤めているのなら、まだ少しでも若く労働市場や転職市場で正社員としての需要があるうちに、30代後半や40代などの完全に中年の年齢になって手遅れの状態になってしまう前に、出来るだけ早く飲食業界から脱出して転職してしまうべきです。

現在の深刻な人手不足の日本の労働市場では、30代前半までの年齢の元サラリーマンであれば、即戦力として特に中小企業などを中心に想像以上に高い求人需要があります。

将来の自分の為に積み上げていく努力と、目先の日銭を得る為に自分の時間と健康と精神を消耗していくだけの飲食業界の忍耐や理不尽。これは似て非なるものですので混同してはいけません。既存の外食産業・飲食業界の構造そのものが根本から崩壊しようとしている現在、飲食業界での苦労や忍耐の先には全く何も残りません。

たとえ会社の規模は中小企業や零細企業であっても、特に贅沢をする気もなく、何よりも日々平穏な気持ちで居られる暮らしと自分だけの私生活の時間を大切にしたいという私と同じ様なタイプの人間の場合、そういう目的に適った比較的のんびりと働けるホワイトな仕事や会社は、探せば意外と多くあります。

「情報発信者のプロフィール」のページに書いている通り、私も接客サービス業界大手のブラック企業から非正規労働の派遣社員への転職を経て、ホワイト零細企業に正社員として就職して、今は大学生時代以上にのんびりと在宅ワークで働いて生活している一人です。

私が現在勤めている会社は従業員10人未満の超零細IT企業ですが、「零細企業だからブラック」「IT企業だからブラック」ということなどはなく、給与面では年収380万円とそれほど多くの年収ではないものの、大半の大手企業よりも遥かにホワイトな環境で働くことが出来ています。

年収380万円でも地方では贅沢をせず質素に生活するのであれば十分以上の金額ですし、また会社からの給与の他に在宅ワークでのホワイトな労働環境で有り余った時間に行う副業での年70万円の副収入もありますので、年収450万円程度を稼ぎ毎月10万円以上の貯金が出来ています。

飲食業界や外食産業の仕事が大変で辛いという方、もっとのんびりと自分のペースで働きたいという方は、「中途採用だとホワイトな企業では絶対に正社員になれない」「転職をしてももっとブラックな中小企業でこき使われてさらに地獄を見るだけ」「転職失敗して非正規労働者やフリーターになったら人生は終わり」という先入観での思い込みや決めつけを一度捨てて、タイムリミットが来てしまう前に、転職という選択肢を本気で検討してみてはいかがでしょうか。

現実的にはサラリーマンの転職活動は困難でリスクもある

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以上、「なぜ外食産業などの飲食業界の労働環境のブラック化が加速し続けているのか?」の記事でした。

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