「君の名は。」の違和感の理由はAIがパッチワークで作った様な作風。20年後の未来、全てのアニメ映画は人工知能に制作される

「君の名は。」の違和感の最大の理由は、まるでAI(人工知能)がパッチワークで作った様な作風にあります。

まるでAIが作ったかのような作品である「君の名は。」の爆発的な人気を見るに、20年後の未来にはほぼ全てのアニメ映画は人工知能によって制作されていることは確実と言えます。

なぜなら世間の大多数を占める大衆が人間の制作した映画ではなくAI(人工知能)がパッチワークで制作した映画を望むからです。

20年後の未来では、人間のアニメーターが制作したアニメやアニメ映画は、現在で例えれば手作りで作成した伝統工芸の皿や器の様な希少で珍しい存在となるでしょう。

なぜ私達は「君の名は。」の記録的なメガヒットに対して何とも言えない後ろ暗い違和感を感じるのか、それはまるでAIが制作した様なパッチワーク的な作風である「君の名は。」のメガヒットは、人間の芸術と創作がAIによって奪われる不気味な未来を暗示しているからです。

君の名は。はAIがパッチワークで制作したような作品

「君の名は。」はまるでAIが過去のあらゆるヒット作から美味しい要素やウケる要素を寄せ集めてパッチワークで制作したような作品です。

【ネタバレ】映画『君の名は。』の感想――パッチワークが導く、新しい光 – ひるねゆったりの寝室
http://hiruneyuttari.hatenablog.com/entry/2016/08/27/031254

◆『君の名は。』とパッチワーク
新海誠監督作品『君の名は。』はすさまじいパッチワークの作品だ。

物語の構成は思い切り『雲のむこう、約束の場所』で、その要となるのは『星を追う子ども』のアガルタだ。そのアガルタ要素を引き出すのは『言の葉の庭』で、時間と空間を飛び越えているところも何だか『ほしのこえ』っぽい。そして物語の最終盤は『秒速5センチメートル』のリメイクである。

新海作品以外でも『時をかける少女』『転校生』『いま、会いにゆきます』『サマーウォーズ』などを想起させる要素がゴロゴロしている。変則的な入れ替わり劇があることを除けば、「どこかで観た作品」の寄せ集めのようだ。

映画作品における「パッチワーク」とはWikipediaで以下の解説をされている様に、小さなバラバラの布を繋ぎ合わせて一枚の布を作る様に、過去の作品の様々な要素を組み合わせて一つの作品を作り上げる手法です。

パッチワーク – Wikipedia

パッチワーク(patchwork)

  • 継ぎ接ぎ(つぎはぎ) – 布片を縫い合わせて1枚の大きな布を作る手芸。綿、裏布と3層に合わせてキルティングしたものをパッチワーク・キルトという。
  • 上記の手芸から転じて、パッチだらけのプログラムを書くような行為のこと。
  • パッチコードプログラミング方式の自動作曲用ソフトウェア。現在は開発を中止している。

この「君の名は。」という作品のパッチワーク性は新海監督自身が以下のインタビューで自ら認めています。

『君の名は。』の新海監督、おじさんなのになぜ女子高生の気持ちが分かる?にショック – シネマトゥデイ
https://www.cinematoday.jp/news/N0086637

また、『君の名は。』はさまざまなアニメや映画との関連性を取りざたされることを意識してか、新海監督は「今回は(自分が影響を受けた)いろんな作品を参考にしたんです。パッチワークというと恥ずかしいのですが。でも、そういうことを続けて行くうちに自分の表現を発見できた。なので『君の名は。』は自分の作品だといえる内容になったと思います」と胸を張った。

この様な「君の名は。」のパッチワーク性には賛否両論があり、漫画家・江川達也などの同業のクリエイターからは「売れる要素ばかりぶち込んでいる」という批判もあります。

漫画家・江川達也が『君の名は。』批判で“大炎上”したのは何故か? – dmenu映画
https://movie.smt.docomo.ne.jp/article/1051608/

■同業者からも苦言

江川達也は10月6日放送のフジテレビ系「バイキング」で、新海誠監督の最新作『君の名は。』について「これ売れるなとは思いましたけど、丁寧に売れる要素をぶち込んでいて、言ってみれば大人のドラえもんみたいなもん」とコメント。その上で「プロから見ると全然面白くないんですよ。作り手から見ると、作家性が薄くて、売れる要素ばかりぶち込んでいる、ちょっと軽いライトな作品」と酷評しました。

賛否両論の意見をひっくるめて、「君の名は。」の本質とは一種パッチワークであることは間違いなく、売上や人気などの面から言っても「君の名は。」はアニメ映画におけるパッチワークの最高傑作という風に言うことが出来るでしょう。

君の名は。は売れる様に全てが緻密に計算し尽くされている作品

「君の名は。」は売れる様に全てが徹底的に緻密に計算し尽くされている作品です。

2007年公開の「秒速5センチメートル」などでの「新海臭」とも言う様な独特の自己陶酔的な臭みを徹底的に削ぎ落して排除し、ライト層向けや一般層向けの商業作品として徹底的にブラッシュアップされています。

新海誠に「気持ち悪いです」と言い放って怒らせた!『君の名は。』プロデューサー川村元気の仕事術
https://www.excite.co.jp/News/column_g/20161224/Litera_2797.html

『君の名は。』で新海監督を「一部でカルト的な人気を得る作家」というポジションから脱皮させた大きな要因として、特に『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』といった作品で表出する「ナルシシズムを多分に含んだ文化系男子の叙情」といった作風をある程度失くしたというのがある。

これらの作品では、遠距離恋愛であったり年の差であったりといった諸要素で引き裂かれる恋を美しく描き、その悲劇に自己陶酔する男を情感込めて肯定的に描くため、強くシンパシーを抱く観客がいる一方で、「童貞の妄想をそのまま映像化する監督」とも揶揄されてきた。

口噛み酒のような「フェティッシュ」は活かす一方で、川村はこういった要素を徹底的に排除しようとしていたようだ。しかも、その指摘の際は「これは無神経ですよ」、「気持ち悪いです」といった遠慮ない物言いだったのだというから驚きだ。新海監督はこのように語っている。

「下手をすると無神経な展開になりかねませんので、そう思わせないための「回路」をきちんと作る。その点、脚本会議で「これは無神経ですよ」とか「気持ち悪いです」とかダイレクトに伝えてもらったことで、だいぶ助かりましたね」(ウェブサイト「ダイヤモンド・オンライン」)

しかし結果として、『君の名は。』は、新海監督のこれまでの主なファン層には含まれなかった若い女性にまで届く作品になったのだから、その指摘は正しかったということだろう。

川村が脚本会議で指摘したのはそれだけではない。ストーリー展開のスピードやクライマックスのつくり方などについても提案を出し、結果としてそれは採用されているのだが、実はそのとき新海監督は密かに怒っていたという。彼はこのように振り返っている。

「会議には、たとえば川村元気という東宝のプロデューサーに入ってもらいましたが、彼は別に一行も書いてくれるわけじゃない。けど、たとえば「瀧が三葉になって目覚めるまでに20分もかかったら、ちょっと退屈しちゃうかもしれません」とか言うんです。あるいは、何カ所か設定したクライマックスのうち、「こことここの2カ所の間がちょっと離れすぎているから、ひとつにまとめたほうが泣けるんじゃないですか」みたいなことを言うわけですよ。(中略)「いや、ここに来るまでに相当、構成を考えたんだけど」みたいな(笑)。しかも、照れもあるのでしょうが、「ここで泣かせれば興収プラス5000万ですよ!」とか、冗談めかして言うわけです。それもカチンとくるんですけど(笑)」(「アニメージュ」16年10月号/徳間書店)

しかし、この様に「君の名は。」では新海監督独特の臭みを徹底的に削ぎ落したことに関して、一部では「メジャーになるために作家性をあきらめた」という批判もされています。

『君の名は。』はバカでも分かる作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る『君の名は。』ヒットの要因 – ニコニコニュース オリジナル
http://originalnews.nico/462

■メジャーになるために作家性をあきらめた新海誠

今回、新海誠が挑戦したのは“作家性のあきらめ”なんですよ。今までの新海誠は『ほしのこえ』とかでやってたような、男と女が何光年も離れて、男の方は女の子のことをずっと想っているはずが勝手に結婚しやがって、女の子の方は銀河の果てで宇宙人と戦いながら「いつかあの人に会える日が来るんだろうか」なんて考えているような、救いようのない切ない話を連続して書いてて、“そこそこの評価”はあった。

でも、「このままではお前はジブリにはなれない。庵野(秀明)や細田(守)にはなれない」……と言われたかは分からないけど、そこで一念発起して、「よっしゃ、わかった! 俺は中学生・高校生、言い方悪いけど“バカ”でもわかる映画を撮るぜ! オラァ、作った! ほら、バカが泣いてる!」っていうのが『君の名は。』なんじゃないかと(笑)。作家性をあきらめて、誰にでも分かるように徹底的にベタな方向にした。だから、この作品は大ヒットしているんじゃないかと思います。

この様に新海誠という1人のクリエイターの個性や作家性を削ぎ落した結果、興行的には人気が爆発して記録的な大ヒット作品となった訳ですから、計算し尽くされた徹底的なブラッシュアップはまさに大成功だったと言えるでしょう。

以下は「君の名は。」の脚本執筆時の資料を公開した新海監督のツイッター投稿ですが、観客のテンションや盛り上がりなど全てを徹底的に計算したエンタメ作品として作り上げたということが分かります。

新海誠 on Twitter
https://twitter.com/shinkaimakoto/status/856497536546160640/

『君の名は。』脚本執筆時の資料が出てきました(ややネタバレ注意、本編最終とも異なります)。時間軸の中での観客の感情・テンションの変化をなんとか捉えられないかと考えていました。懐かしいなあ。

パッチワークとブラッシュアップはAIの大得意分野

そしてこの様にあらゆる人気作品からいいとこ取りをしたパッチワークと計算し尽くされたブラッシュアップによって制作された「君の名は。」ですが、パッチワークとブラッシュアップはまさにAI(人工知能)の大得意分野です。

映画やアニメなどにおけるパッチワークとは、言ってしまえば過去に制作されたあらゆる作品の良い所取りです。

しかし人間の記憶力には限界がありますので、過去に制作された全ての作品から良い所取りすることは出来ません。

しかし、コンピューターやAIは人間よりも遥かに素早くかつ正確にデータベースから過去のデータを参照することが出来ますので、本当に総当たり方式で過去に制作された全ての作品からパッチワークで良い所取りを行うことが可能です。

1997年にチェスの世界チャンピオンを破った「ディープ・ブルー」などは、まさにこの過去のデータの総当たり参照方式で稼働しているコンピューターでした。

ディープ・ブルー (コンピュータ) – Wikipedia

ディープ・ブルーは、32プロセッサー・ノードを持つIBMのRS/6000 SPをベースに、チェス専用のVLSIプロセッサを512個を追加して作られた。プログラムはC言語で書かれ、オペレーティングシステム はAIXが使われていた。開発チームは、グランドマスターであるジョエル・ベンジャミンを含めて6名。

1秒間に2億手の先読みを行い、対戦相手となる人間の思考を予測する。予測の方法は、対戦相手(この場合カスパロフ)の過去の棋譜を元にした評価関数(指し手がどのぐらい有効かを導く数式)を用いて、効果があると考えられる手筋すべてを洗い出すというものである。

過去に2回の対戦が行われ、1回目(1996年2月)はカスパロフが3勝1敗2引き分けで勝利、2回目(1997年5月)には使命を果たす形で6戦中2勝1敗3引き分けでディープ・ブルーが勝利した(ディープ・ブルー対ガルリ・カスパロフを参照)。現在では解体されてしまっているが、一部はコンピュータ歴史博物館などに展示されている。

では、作品がより大多数の大衆から人気を得る様にブラッシュアップする工程はどの様に進められるのか、そことで絶大な威力を発揮するのがAIの機械学習とディープラーニングです。

機械学習とは – SAS
https://www.sas.com/ja_jp/insights/analytics/machine-learning.html

■機械学習

機械学習とは、データから反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出すことです。そして学習した結果を新たなデータにあてはめることで、パターンにしたがって将来を予測することができます。人手によるプログラミングで実装していたアルゴリズムを、大量のデータから自動的に構築可能になるため、さまざまな分野で応用されています。

ディープ・ラーニングとは – SAS
https://www.sas.com/ja_jp/insights/analytics/deep-learning.html

■ディープ・ラーニングとは

ディープ・ラーニングとは、音声の認識、画像の特定、予測など人間が行うようなタスクを実行できるようにコンピューターに学習させる手法です。ディープ・ラーニングでは、人間がデータを編成して定義済みの数式にかけるのではなく、人間はデータに関する基本的なパラメータ設定のみを行い、その後は何層もの処理を用いたパターン認識を通じてコンピューター自体に課題の解決方法を学習させます。

この機械学習とディープラーニングを用いた繰り返しの試行によって、AI(人工知能)が大衆受けする作品の特徴や形式を学習し、「君の名は。」の様なパッチワークをブラッシュアップしたヒット作を連発しまくる訳です。

そしてこの様なAIの映像作品分野への進出の先にあるのが、ほぼ全てのアニメ映画が人工知能によって制作されている20年後の未来です。

では具体的にアニメ映画などの映像作品分野におけるAIの機械学習とディープラーニングはどのように行われるのでしょうか。

それはYouTubeなどのインターネット動画投稿サイトの活用です。

AIの制作した映像作品ということを隠して、AIがパッチワークで制作した動画をYouTube上にアップする。

もちろん最初にAIによって制作されて上げられた動画は人間から見れば完全に出鱈目に繋ぎ合わされた映像の断片ですので全く反応も良くありません。

しかし、その動画の視聴時間や視聴数、高評価の数などをAIはフィードバックされたデータとして学習している。

そしてAIは高速処理が可能ですので、次々と大量の動画を次々にインターネット上にアップし続けて行く。

そのうちに人間の視聴者から高評価を付けられるなど、そこそこの好評を得る作品が投稿される様になる。

そしてその時にアップした映像作品の傾向をAIは機械学習によって把握して、さらに人間の好みに合う様にブラッシュアップされた動画を投稿して行く。

そんな動画を何万・何10万個と大量に投稿して学習を繰り返していくうちに、大衆の嗜好をほぼ完全に把握したAIへと成長していくわけです。

この様な方法で学習を重ねたAIが作り出したパッチワークのアニメや映画は「君の名は。」と同様にメガヒットとなる可能性が非常に高いものとなります。

人間の棋士がAIに手も足も出ないほど完敗した様に、人間のアニメーターやクリエイターが制作した作品は学習を重ねたAIが作り出した作品に完敗することになるでしょう。

そして大衆は人間のクリエイターの作品よりもAIの制作した作品を支持し、人間のクリエイターはほぼ完全にアニメ映画業界から駆逐されることになるはずです。

その結果、20年後の未来では、人間のアニメーターが制作したアニメやアニメ映画は、現在で例えれば手作りで作成した伝統工芸の皿や器の様な希少で珍しい存在となります。

君の名は。メガヒット現象に感じる不気味な違和感の正体

なぜ私達は「君の名は。」の記録的なメガヒットに対して何とも言えない後ろ暗い違和感を感じるのか。

そして特に同業の多くのクリエイター達が「君の名は。」に強烈な嫌悪感を示しているのか。

それは、まるでAIが制作した様なパッチワーク的な作風である「君の名は。」のメガヒットは、人間の芸術と創作がAIによって奪われる不気味な未来を暗示しているからです。

同業のクリエイター達は、人工知能によって自らの存在が完全に駆逐される絶望の未来を、「君の名は。」から知らず知らずのうちに嗅ぎ取っているのです。

一部のクリエイターからの「君の名は。」に対する強い反発は、彼らの潜在意識下の危機感が表出した一種の心理的な防衛反応と解釈することが出来ます。

確かに「君の名は。」がメガヒットしたことに対して私達が感じる何とも言えない後ろ暗い違和感は、人工知能がチェスや将棋や囲碁で人間の名人達を軽く打ち破っていくことに対して我々人間が感じる一種の不安や恐怖に近いものがあります。

しかし、おそらくこの時代の流れはもはや止めることなど出来ません。

特にアニメや映画などの映像分野において、クリエイターの多くがAIによって仕事を奪われ駆逐される未来は避けられないでしょう。

「君の名は。」に文句を付けて批判して気を紛らわしたところで、それは人間のクリエイターがAIに淘汰されるこれからの時代から目を反らす虚しい現実逃避でしかありません。

私達はこの不気味な現実を直視して未来へ向かって歩んで行かなければならないのです。

AI(人工知能)によるクリエイターの淘汰については以下の記事も書いています。もし興味があればお読みください。

参考:創作家は人工知能で代替可能。しかし批評家はAIでは代替不可能

以上、「「君の名は。」の違和感の理由はAIがパッチワークで作った様な作風。20年後の未来、全てのアニメ映画は人工知能に制作される」の記事でした。

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