現在の中国(中華人民共和国)は、共産主義国家でありながら貧富の差が非常に大きく資本主義経済が発展する不思議な一党独裁国家です。
本来は資本主義国家とは完全に対極の共産主義国家であるはずの中国ですが、その実態は沿岸地域に経済特区を開発し、外国籍企業の所得税を軽減して他国の企業の誘致を非常に積極的に進めるなど、他の多くの国々よりも資本主義経済の原理に忠実な対外開放政策により爆発的な経済発展を続けています。
中国国内の経済格差の理由 – ベネッセコーポレーション
http://kou.benesse.co.jp/nigate/social/a13z0310.html
中国では沿海部(沿岸部)の都市を中心に経済発展が進み、内陸部の農村との間で経済格差が拡大しています。その要因を一緒に考えていきましょう。
中国では1970年代末から、社会主義体制を維持しながらも市場経済を導入していこうとする「経済改革・対外開放政策(改革・開放政策)」に踏み切りました。
この政策により、中国南東の沿海部に「経済特区」や「経済技術開発区」が設けられ、外国企業の投資が集中するようになりました。中国が外国資本や外国企業の進んだ技術の導入を目的として、沿海部の経済特区などで税制面の優遇措置をとったためです。外国企業も、資源に恵まれ約13億人もの人口を有する中国に、安価で豊富な労働力があることや、将来的に大きな市場として成長する可能性があることを見込んで積極的に投資しました。これにより中国の工業は、原材料や製品の輸送にも便利な沿海部を中心として、大きな発展をとげました。
沿海部の都市を中心に経済が発展すると、人々の生活水準も向上し、都市化も急速に進みました。都市住民と農民の1人あたりの所得比は全国平均で約3倍とも、それ以上になっているとも計算されており、沿海部の富裕層は、世界中のブランド品を購入したり、海外の不動産に巨額の投資をしたりするようになりました。
その一方で、農業だけでは豊かになる収入を得ることが難しく、ほかに雇用の機会も少ない内陸部の農村からは、工業労働者として多くの人口が沿海部の都市へと流出するようになったのです。このような都市への出稼ぎ労働者を低賃金で雇うことで、中国は「世界の工場」とよばれるまでに成長したのですが、一方で農村には高齢者や子どもたちばかりが取り残され、沿海部の都市と内陸部の農村の経済格差がだんだんに広がっていきました。
日本でも東京と地方の格差は言われていますが、中国では都市部と農村部で3倍にも所得格差が拡大していますので、貧富の格差は日本どころじゃありません。
一方で純度の高い資本主義国家であるはずのアメリカでは、すでにベーシックインカムの検証実験が行われており、近い将来における社会制度としての導入が具体的に検討されています。
ベーシックインカムは天使か悪魔か? アメリカで史上最大の実験 – BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-105138
シリコンバレーの有名なスタートアップインキュベーターであるY Combinatorは、同社が予定しているベーシックインカムの実験について詳細を明らかにした。
同社は3000人の参加者を2つの州から集め、彼らを2つのグループに分ける。最初のグループの1000人は、最大5年にわたって、月1000ドル(約11万円)を受け取る。2つめのグループの2000人、実験では「コントロール・グループ」と呼ぶ2000人は、月に50ドルを受け取る。
実験のゴールは、「無条件でお金を受け取った人のクオリティ・オブ・ライフと仕事へのモチベーションはどうなるのか?」というシンプルだが、悩ましい問題の答えを見出すこと。
Y Combinatorの社長サム・アルトマン(Sam Altman)氏は2016年5月、同社ブログで、全市民が無条件で一定額のお金を受け取る、富の分配システム「ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)」の実験によって、その質問に答えを出したいと記した。
アルトマン氏の周囲のシリコンバレーの人たちは、UBIを支持、もしくはUBIに関心を示している。今後、数十年のうちに人の仕事が広範囲にわたってAIやロボットによって奪われると経済学者たちが考えていることに対する、解決策となりうると考えているから。UBI支持者たちは、UBIはAIやロボットによって仕事を、つまり収入を失う人に一定のお金を与えることができると主張する。
また支持者は、UBIが人々を貧困から救い、生活水準を底上げし、より大きな繁栄を生み出すと言う。一方で懐疑派は、UBIは仕事を通じて収入を得ている人々から、仕事へのモチベーションを徐々に奪うと反論する。
しかし、これまで、この議論に結論をもたらすような長期的な実験は行われてこなかった。Y Combinatorの実験は、アメリカ史上最大級の実験であり、これまで先進国では見られなかったデータを提供するはずだ。同社はすでに、先行実験をカリフォルニア州オークランドで行い、参加者は1000~2000ドルのUBIを受け取っている。先行実験の目的は、アメリカでのUBIの実現可能性を確認することだ。
新たな実験では、UBIの効果を測る様々な要素を確認する。具体的には「個人の時間の使い方、お金の状況、メンタル面と身体面の健康状態の指標、子どもや社会生活への影響」と、同社はブログに記している。2017年末までに約100人が参加する予定。注目すべき最も重要なことは、人々の労働意欲が維持されるか、地域社会とのつながりを感じられるか、社会生活から逸脱せずにいられるかどうか、そしてUBIの採算性だ。
Y Combinatorは、地元行政機関および政府と連携し、UBIがすでに人々が受けている社会保障と対立しないよう調整していく。
「実験の結論として、UBIについての基本的な疑問が解消され、社会的な負担と将来への取り組みへの議論が進むことを期待している」
この他に、UBIに関する確証的なデータが期待される大規模な実験が、東アフリカで行われている。チャリティ団体のGiveDirectlyが昨年1年間、先行実験を行ってきた。この秋、GiveDirectlyはさらに大規模な実験を開始する予定。6000人が、12年にわたって何らかの形でベーシックインカムを受け取る。
本来は資本主義の象徴、そして資本主義国家の筆頭であるはずのアメリカが、富を再分配するベーシックインカムを社会制度として本格的に導入しようとしている。
さらにドナルド・トランプが大統領に就任したことで、近年のアメリカは外国人に対する入国制限などの対外政策で保守的で閉鎖的な傾向を強めつつある。これは開放化以前のかつての中国の姿を想起させます。
米最高裁、入国禁止令の全面的な執行認める – BBCニュース
http://www.bbc.com/japanese/42233272
米連邦最高裁判所は4日、ドナルド・トランプ大統領が今年9月に出したイスラム圏や北朝鮮など8カ国の国民の入国を禁じる大統領令について、全面的な執行を認める判断を下した。
トランプ大統領就任以来3回目となる9月の入国禁止令をめぐっては、ベネズエラ、北朝鮮を除くイラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメン、チャドの6カ国に対する入国禁止が「イスラム禁止令」にあたるとして訴訟が提起されており、最高裁は訴訟継続中の禁止令の執行を認めた形となった。
また、現在のアメリカは日本人にとっても税関や入国審査が非常に厳しく、かつての自由で開放的な「アメリカ」はかつてのものになろうとしています。
空港で足止め、入国拒否も!トランプ政権で厳しくなったアメリカの入国審査 – J-CASTテレビウォッチ
https://www.j-cast.com/tv/2017/04/27296647.html
もうすぐゴールデンウイークだが「米国旅行にご注意を」と、菊川怜がトラブル多発の現状を伝えた。入国審査がトランプ政権になってから厳しくなっているのだ。
ファッションディレクターの植野有砂さんは今月(2017年4月)ロサンゼルスで入国しようとした際に仕事の記録を要求されたことがある。旅行中で持ち歩いていないと答えると、スマホの写真やラインの通話記録を全部調べられ「君が毎日なにをしているか、全部調べられる」と言われた。植野さんは「不安で泣きそうになった」という。3時間半、空港に足止めされた。
日本の代表的なヘビーメタルバンド「LOUDNESS」は今月(2017年4月)18日、シカゴで入国を拒否され、帰国させられた。
■個人情報の提供求められる
ジョン・ケリー国土安全保障長官は「個人情報の提供が入国の条件だ。ウエブサイトの情報やSNSのパスワードを求めることもある」としている。政治的信念まで調査対象にされる可能性も危惧される。それも、中東やアフリカにとどまらず、日本やイギリスからの旅行者にも適用される。
私自身も細々とした規模で日本の緑茶の海外輸出事業にも関わっているのですが、近年のアメリカの税関と輸入規制は本当に厳しいです。
小麦粉などが含まれる品物は規制の対象となってしまうので、お茶を使用したクッキーなどのお菓子の輸出も非常に手続きなどが面倒です。
余りにもアメリカの税関が厳しく面倒であるためにアメリカへの輸出はほぼ諦めてしまい、現在は中国や東南アジア圏への輸出が中心になっています。
「自由の国アメリカ」という言葉がありますが、特に貿易や経済の面に関して言えば現在は中国などの方が、よっぽど自由で開放的なのです。
まるでアメリカと中国の中身と理念が入れ替わっている
はた目から見れば、かつての中国とアメリカの中身と理念がいつの間にか入れ替わり、まるで中国が資本主義国家であり、アメリカが共産主義国家か社会主義国家になろうとしているかのようです。
分かりやすく簡単に現在のアメリカと中国の状況を説明すると…
「もしかして私たち…」
「もしかして俺たち…」
アメリカ&中国「入れ替わってる~!?」
アメリカ「外国人の入国を禁止しないで!」
中国「国の主義主張を勝手に変えるなよ!」
アメリカ「あのイエローモンキー共は~!」
中国「あのヤンキー共は~!」
『国の名は。』近日公開
…という感じです。
本当に最近の中国とアメリカは『君の名は。』みたいに中の人が入れ替わったんじゃないかという変わりようです。
2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件などの影響もありますが、それほどこの20年間でアメリカと中国の内実は大きく変化しました。
もし20年前の人間が現代にタイムトリップしてきてたら、180度逆転した中国とアメリカの政策や理念に驚いてしまうのではないでしょうか。
旧来の価値観や構造が完全に逆転しようとしている世界
この様なアメリカと中国の現状などの様に、現在の世界では旧来の価値観や構造が完全に逆転しようとしているということが言えます。
男は女に入れ替わり、男は女に入れ替わり、白は黒に、そして黒が白になる。
現代はちょうどそんな時代の境目となっているのかもしれません。
共産主義国家である中国が資本主義国家となり、かつては資本主義国家の象徴の様な存在であったアメリカが貧富の差を是正し共産主義国家や社会主義国家へと近づいて行く。
その様な価値観や構造の逆転が世界規模で進みつつある様に感じます。
我が国日本に言及すれば、かつてであれば「日本は豊かで東南アジアなどのアジアは貧しい」という価値観もありましたが、10年後の近い将来には、「アジアは豊かだが日本は貧しい」という認識が完全に当たり前の常識となっているかもしれません。
日本人が高い賃金を得る為にアジア諸国に出稼ぎ労働に行く、ということも今後の日本では完全に当たり前の行動になるのではないかと思います。
古い常識に囚われずに考えなければいけない時代に
この様に現代はかつての常識が根底から覆され、中国が資本主義国家に、アメリカが社会主義国家に、アジアが豊かに、日本が貧しく、白が黒に、黒が白にという様にあべこべに真逆に入れ替わろうとしています。
かつての当たり前のことが通用しないこの様な時代では、古い常識に囚われずに考えて物事を判断しなければなりません。
世界の構造や価値観の反転が進む中で、10年後の世界では現在の当たり前とは完全に真逆なことが、世界の現実であり事実となっているのです。
この様な激動の時代で私達は一体どのように生きればいいのか。
これからの生き方のヒントとなる様な提言を以下の記事で書いてみました。もし興味があればお読みください。
参考:今の世間で見下されている存在が10年後の未来では羨望と憧れの対象となり得る
以上、「資本主義経済が発展し貧富の差が拡大する中国とベーシックインカムにより共産主義国化していくアメリカ」の記事でした。