会社の仕事を通して自己実現をする会社至上主義の時代が終わりつつある日本

会社至上主義が世間で当たり前であったかつて昭和の時代までの日本では、会社の仕事は単にお金や生活の糧を稼ぐ為の手段というだけではなく、人間として社会の中で自己実現するための道筋でした。

「モーレツ社員」や「企業戦士」と言った日本のサラリーマンに独特の労働文化も、会社の業績や仕事の成果が自分自身の価値と自己実現に直結するという会社至上主義的な価値観の上に成り立っていたのです。

しかし、現在の日本ではその様な昭和的なサラリーマンの価値感が終焉しつつあります。

会社での仕事は単に収入や給与を支払ってもらい生活の糧を得るための手段であり、人生における自己実現は会社の仕事に依存することなくプライベートで目指すものという欧米的な価値観が日本でも当たり前のものとなってきているのです。

昭和のサラリーマンにとっては会社こそが自分のアイデンティティだった

会社の仕事が自己実現の筋道だった昭和のサラリーマンにとっては、会社こそが自分自身の存在価値やアイデンティティでした。

自分自身が所属する会社が優れた業績を挙げることは、その会社に所属する自分自身の存在価値の高さを示すことであり、会社の看板やブランドが自分自身の誇りでもありました。

右肩上がりで日本の経済規模と企業の業績が上昇し続ける高度経済成長と、会社に忠誠を誓い続ければ必ず報われた終身雇用と年功序列制度によって、会社員は自らが所属する会社や企業を自分自身と同一視するという幻想が成り立っていたのです。

そしてこの様な幻想を背景に、「男は会社で働いてこそ一人前」「出世や会社の仕事こそが生きがい」という認識が世間に広がり、企業戦士やモーレツ社員といった日本のサラリーマンに独特の会社至上主義的で社畜的な労働文化が醸成されていきました。

企業戦士 – Wikipedia

企業戦士(きぎょうせんし)とは、日本において企業のために粉骨砕身で働く勤め人であるサラリーマンをいう。

自らの身も家庭や家族をも顧みず会社や上司の命令のままに働く姿を戦場での兵士に例えたものだが、日本の屋台骨を支える「戦士」であると企業や社会からもてはやされ、高度経済成長以降「日本株式会社」のおもな担い手となった。彼らは、とくに1968年(昭和43年)頃から昭和50年代にかけて、「猛烈社員」「モーレツ社員」等と呼ばれた。

現在でもアイデンティティを国家に依存して、オリンピックで日本人選手が活躍すると「日本凄い」「日本人の自分は偉い」とやりたがる痛い人間が多いと言われています。

しかし、会社至上主義がまかり通っていたかつての日本では、それに加えて精神的に所属する会社に依存して、会社の業績が上がれば「俺の会社は凄い」「大企業に勤めている自分は偉い」という様な痛い態度がまるで当たり前の時代が続いていたのです。

時代の変化によって過去のものとなった会社至上主義

しかし、この様な会社至上主義的な風潮は様々な時代の変化によって完全に過去のものとなりつつあります。

特に若い世代であればあるほど、どの様な会社や組織に所属しているかということよりも、その人間自身の個としての能力がより直接的に求められる時代となっているのです。

そしてその様な社会意識の変化を急速に推し進めたのが、バブル崩壊・東日本大震災・SNSの普及という3つの要因です。

バブル崩壊と不況による年功序列と終身雇用制度の崩壊

この様な会社至上主義が揺らぐ社会通念の変化の契機となったのが、1990年代からのバブル崩壊と長引く平成不況の影響を受けての年功序列と終身雇用制度の崩壊です。

企業戦士 – Wikipedia

1990年代(平成初期)のバブル経済崩壊後は年功序列などの日本的経営に変化が起こり、サラリーマンが企業のためにすべてを犠牲にして働いても賃金が上昇せずに整理解雇に遭うようになった。リストラによって会社に対する「忠誠心」を失わせる結果ともなった。

まるで自分自身の分身やアイデンティティの様に考えていた勤め先の会社が不景気下の経営不振で倒産する。

または、「会社のために真面目に働き続ければ報われる」と長年忠誠を誓い身を捧げ続けてきた会社からリストラや解雇をされる。

バブル崩壊後の日本では、この様なケースが全国で急増しました。

以下は1978年から2017年までの30年間の自殺者数の推移のグラフです。


参考:【図解・社会】自殺者数の推移 – 時事ドットコム

日本の年間自殺者数は過労死のピークであった1980年代の半ばに2万5,000人前後に増加した後、バブル崩壊の影響と不況が深刻化した1998年から3万人以上にまで再び急激に増加し、ピークである2003年には3万5,000人近くにも達しました。

会社至上主義を盲信し精神的に会社に依存していた社畜サラリーマン達が、会社の倒産やリストラによってその幻想を打ち砕かれたことによって、アイデンティティや心の支えを喪失して自殺に走ってしまう。

また、バブル崩壊後の就職難などによって社会の「普通のレール」から外れてしまい、普通の会社員やサラリーマンになれなかったにれなかった無職者や引きこもりが、「自分には生きている価値がない」と思い込み自分の命を絶ってしまう。

それが自殺者数が年間3万人を超えていた1998年から2011年までの日本社会で起こっていた事態の内実です。

東日本大震災によって既存の常識や価値観が疑われ始めた

そしてこの様なバブル崩壊と不況をきっかけとした会社至上主義という幻想の終焉をさらに推し進めたのが、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。

想定を遥かに超える津波被害や福島第一原子力発電所で発生した原発問題などによって、既存の常識や価値観はこの現実世界では必ずしも正しくないということが認識されるようになり、会社至上主義的などの昭和時代からの日本人の社会通念も完全に疑いを持って見られる様になったのです。

「所属する会社の規模やブランドが社会人としての価値だ」「会社での役職が自分の人間としての価値だ」と言う様な昭和時代にはごく普通で当たり前だった風潮が老害的な発想として否定されはじめ、会社至上主義という幻想がその根底から疑われるようになりました。

非会社的な社会参加を加速させたSNSが意識変化の決め手に

そしてこの様な日本人の意識変化の最後の決定的な決め手となったのが、2010年代からのスマートフォンの普及によるTwitterやInstagramなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)の一般市民への浸透です。

決して会社の仕事だけが人間の価値汚の基準やアイデンティティにはならない。

という当たり前の正論を言っても、現実には昭和時代には会社に頼らずにプライベートだけで自己実現を達成出来ていた人間はごく少数であり、会社という組織を通さなければ社会と関わるということ自体が出来ない人間が圧倒的に世間の大半を占めていたのです。

そう考えれば昭和時代の日本人が「会社こそが自分自身のアイデンティティである」という会社至上主義に陥るのは当然のことだったのです。

窓際族でダメ平社員のハマちゃんがプライベートでは美人の奥さんと結婚して、釣りという趣味を通して社長であるスーさんの師匠的存在になるという「釣りバカ日誌」などがバブル期前後に人気となっていたのも、あくまでもフィクションの世界でのおとぎ話だからであり、現実社会ではあり得ない夢の様な愉快な設定として憧れられていたのです。

現実にはバブル期の会社至上主義的かつ物質至上主義的な風潮では、ハマちゃんの様な仕事に対して無気力で低収入の男性は大半の女性からは全く相手にもされませんし、社会的地位のある人間からはゴミ以下の扱いだったでしょう。

しかし現在ではSNSなどによって会社で働いていない人間でもやろうと思えば社会に対して発信をすることが出来ますし、誰でも気軽にインターネットを介して社会と関わりを持つことが可能です。

確かに2010年代以前でもブログや2ちゃんねるなどの匿名掲示板は存在しましたが、ブログを継続してそれなりの反響を得られるコンテンツとするには継続力が必要ですし、叩きや罵倒や誹謗中傷の激しい匿名掲示板で自己アピールを続けるにはメンタル的なタフネスが必要です。

また、オンンラインゲームなどで他のユーザーから一目置かれる存在となるためには、重課金や廃人プレイなどでのやり込みが必要でしょう。

その点、Twitterであれば短文を投稿するだけでいいのでブログよりも続けることが簡単ですし、Instagramでは画像をアップするだけでいいのでお手軽です。

一般庶民がTwitter上でかつては雲の上の存在だった有名人やアイドルやスーパースターとも簡単にやりとりをすることも出来てしまいます。

この様に誰でもお手軽に個人として社会へ自分を発信することが可能となったことで、会社という組織だけが社会と自分を繋ぐアイデンティティであり自己実現の手段であるという時代ではなくなったのです。

会社至上主義の終焉によって自殺者数は激減した

これらのバブル崩壊・東日本大震災・SNSの普及という3つの要因によって、会社至上主義は完全に終焉することになります。

そしてこの様な日本人の社会意識の変化によって2010年代に入り自殺者数は激減していくことになります。


参考:【図解・社会】自殺者数の推移 – 時事ドットコム

この自殺率の減少については、「アベノミクスによって景気が回復し雇用状況が改善したから」という理由を挙げる声もありますが、2017年の自殺者数は経済的な豊かさの絶頂だったバブル期の1980年代半ばから後半よりもさらに低い水準です。

「所属する会社のブランドや会社での役職や給与などが人生の全てではない」という認識が当たり前の様に広がり、「せっかく一流大企業に入ったのだから」と銀行や証券会社の様な大手ブラック企業にしがみ付いて心身を消耗して自殺する様な社畜会社員や、就職活動に失敗して「もう自分の人生は終わりだ」と絶望して自殺する様な無職者が急激に減っているのです。

実際に現在の日本では、会社に勤めて働けない無職であっても、本当に死ぬ気で努力をすれば転売やブログ収入などで生きて行ける必要最低限の収入程度は稼げますし、「無職はホームレスまっしぐらで人生終了」という訳ではありません。

そしてかつては無職者や引きこもりの最大の苦しみであった社会疎外感や孤立感なども、現在はインターネットやSNSを介しての社会との交流によって遥かに軽減することが可能になっています。

無職だからと自殺するなんて馬鹿らしいし意味不明。

本当に会社で働くことが耐えられないほど辛いのであれば、とっとと辞めて無職になってしまってもいい。

現在の日本はそんな考え方や生き方が許される時代となってきているのです。

会社が耐えられないほど辛いなら辞めてしまってもいい

この様に現在の日本では個人が会社という組織に精神的に依存する会社至上主義が終焉しつつあり、会社が耐えられないほど辛いなら辞めてしまってもいいという考え方が当たり前に認められる社会になっています。

「仕事が辛くて耐えらない」「上司が理不尽で納得がいかない」「給与が労力に見合わない」と思っているのであれば、無理に我慢せずに会社や仕事を辞めてしまうという選択も許されるのです。

しかし現実的には、次の勤め先や収入の当てが見つけられないままに会社を辞めることは、やはりリスクがあります。

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以上、「会社の仕事を通して自己実現をする会社至上主義の時代が終わりつつある日本」の記事でした。

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