安室奈美恵vs浜崎あゆみ 二人の差は嘘を演じるアイドルかリアルを曝け出すアーティストかの違い

安室奈美恵と浜崎あゆみという1990年代~2000年代の日本を代表する二人の歌姫。

かつては若い女性のカリスマ的存在として「安室 VS 浜崎」などと比較されることも多かった。

ただ、現在は以下の動画の通り、若い頃のルックスを保ち神格化された安室と、デブって痛々しい醜態を晒す浜崎では圧倒的な差が付いたという見方が当たり前になっており、どちらが上かという比較は完全に勝負がついた感がある。

以下のブログ記事の様に、「安室は沖縄的なエキゾチックなセンスが魅力的だけど、浜崎は田舎臭いギャル系のファッションでセンスがダサい」という意見もあり、浜崎あゆみは完全に時代錯誤の終わった人という風潮だ。

仮に今、オワコン扱いで落ちぶれた浜崎あゆみが引退を発表しても、安室奈美恵の様に神格化されることは絶対にないだろう。

安室を持ち上げて浜崎をこき下ろすことがこの記事の意図ではない

ただ、この記事は今さら安室奈美恵を持ち上げて浜崎あゆみをこき下ろすということが目的ではない。

個人的には、浜崎あゆみの「rollin’」(ローリン音頭)の迷走っぷりなどはシュール系ギャグとして一周回って大好きだ。

安室を上げて浜崎を下げる様な意見はすでにヤフコメや2ちゃんねる等の匿名掲示板などで腐るほど出尽くされているので、今さらこのブログに書く必要もないだろう。

この記事の目的は、安室奈美恵と浜崎あゆみという平成を代表する二人の女性歌姫を比較することで、1990年代から2000年代、そして2010年代という現代日本を支配した空気を考察することにある。

安室と浜崎のどちらが上か下かということはとりあえず脇に置いて、客観的な立場で二人を並べて考察していきたい。

嘘を演じるアイドルであるかリアルをさらけ出すアーティストであるか

安室奈美恵と浜崎あゆみの本質的な違いは、嘘を演じるアイドルであるか自分のリアルをさらけ出すアーティストであるかという違いにある。

安室奈美恵は世間の需要に応えて嘘を演じるアイドル

安室奈美恵は自分では作詞も作曲も行わないしクリエイトをしない。

つまり安室奈美恵は「アーティスト」では決してない。

世の中からの需要に応えて、他人の作った曲をステージ上でマネキンとして演じるのが、アイドルである安室の仕事だ。

そしてファンの目に映るステージ上の安室奈美恵の表現は全て嘘である。

2008年7月30日に発売された安室奈美恵の4枚目のベスト・アルバムの表題は「BEST FICTION」(ベスト・フィクション)。


BEST FICTION(DVD付)

タイトルは「最近やってきたものは最高のつくりもの(ベストなフィクション)」という自身のコメントから付けられており、小室哲哉プロデュース期のノンフィクションに対して、自身がイメージする強い女性像を作り上げているフィクションと表現[3]。ジャケットには、タイトルにちなんだフィクションっぽさを演出するため、エアブラシ加工が施された写真を使用。

BEST FICTION – Wikipedia

「BEST FICTION」つまり日本語で書けば「最高の作り物」。

つまりはステージ上の安室奈美恵とは完全に嘘の存在なのだ。

天才プロデューサー小室哲哉の操り人形だった安室奈美恵

デビュー後の安室奈美恵の歴史を振り返ると、当時一世を風靡していた小室哲哉の操り人形のマネキンとして大ブレイクした時期がキャリアの最初のピークにあたる。

デビュー後の安室はパフォーマンスユニットSUPER MONKEY’Sとして活動していたものの伸び悩み、シングルのオリコンランキングも50位~100位前後を行ったり来たりしていた。

スーパー・モンキーズ時代の安室奈美恵/SUPER MONKEY’S4「愛してマスカット」

そんな安室を大ブレイクさせカリスマ歌姫へと仕立て上げたのが、エイベックス代表のMAX松浦と天才プロデューサーの小室哲哉である。

安室奈美恵が自身を最も言い表す曲とインタビューで語った「sweet 19 blues」

世の中カッコつけててそれよりカッコ良くなきゃいけない
もし飛び出るんだったら

だけど私もほんとはすごくないから
誰も見たことのない顔 誰かに見せるかもしれない

歌とダンスが好きなだけの普通の女の子が、プロデューサーや大人たちから操り人形の様にカリスマへと仕立て上げられることの苦悩。

そんな当時の安室の心境を形にしたのが「sweet 19 blues」の歌詞であり、安室奈美恵は本質的に虚構のカリスマだったのだ。

「自分のやりたい音楽」を追求していた時代の安室は不人気だった

その後、安室はTRFのダンサーSAMとの結婚・母の死・産休などを経て、2001年から小室プロデュースを離れて本当にやりたい音楽だった本格派のR&B路線(ヒップホップ路線)へと路線変更していく。

しかし、この本格派のR&B路線の安室は本当に売れなかった。

2003年に発売した本格派R&B路線の「Put ‘Em Up」のセールスは41,149枚と10万枚を大幅に割り込む大惨敗。

人気の面でも過去の栄光を見る影もないレベルに低迷し、「安室は終わってしまった」というのが当時の世間の風潮だった。

この様に安室という歌手は結局、小室のプロデュースとイメージ戦略のお陰で売れていたマネキンだったのだ。

完全に人気低迷した当時の安室は、国内では大きな会場でのツアーを行えず、韓国などアジアに拠点を移して活動していた。

ただ、個人的にはこの当時の安室の本格派R&B路線のパフォーマンスは今見返しても最高にクールで、現在のダンスミュージックの流行を先取りし過ぎていたという感が強い。

韓国での安室奈美恵の最高にクールなパフォーマンス「Put ‘Em Up」

世間の需要に合わせて路線を方向修正し再ブレイクした安室

この様に本格派R&B路線への路線変更に失敗して完全に人気低迷していた安室だったが、R&B(ヒップホップ)のリズムに耳障りのいいJポップ的な歌詞を取り入れた「Hip-Pop」に方向修正し人気を盛り返していく。

そのHip-Pop路線の代表曲が2004年10月に発売した「GIRL TALK」だ。

クールでオシャレでしかも可愛らしいこの「GIRL TALK」はシングル売り上げ10万枚を記録。

安室は新路線を開拓し再ブレイクを果たした。

そして2005年にはHip-Pop路線の集大成としてアルバム「Queen of Hip-Pop」を発売する。


Queen of Hip-Pop

この不死鳥の様な復活から「老いてますます輝く」という安室の神格化が始まる。

「GIRL TALK」は男性不在のアイドル的な歌詞のレズソング

この様に安室奈美恵の復活のターニングポイントとなった「GIRL TALK」だが、曲の世界に男性が不在と言う点で非常にアイドル的な歌詞のレズソングだ。

「かなりショッキングな告白」(同性の女友達が恋愛対象として好きという告白)「女同士も捨てたもんじゃないの」の歌詞が象徴するように、GIRL TALKは女同士のレズビアン的な友情を描いている。

日本ではレズアピールとアイドルは切っても切れない関係

日本で独自に発展した女性アイドルという文化の最大の特徴は、アイドルの彼氏や男の存在を否定する男性不在の世界観という虚構としての処女性にある。

その文脈からAKB48などの女性グループアイドルで多用されるのが、メンバー同士でのレズアピールだ。

AKB48メンバーのキス画像まとめ動画

再ブレイク後の安室奈美恵の存在はアイドルと同じで虚構的

そして安室奈美恵の「GIRL TALK」もまた、これからのアイドル達のレズごっこと同じくレズアピールをしている曲である。

安室はすでに子供のいる経産婦で処女性は失っているが、Hip-Pop路線での安室は「男性の不在化」を行い、虚構的な存在であるアイドルに立ち位置を寄せることに成功したのだ。

実際にアルバム「Queen of Hip-Pop」の「WoWa」のMVなどはピンク色のチアガール衣装でのパフォーマンスで、アイドル的なイメージで売り出している。

WoWa (MV)

WoWa (MV)

安室奈美惠 Namie Amuroさんの投稿 2014年2月6日木曜日

再ブレイク以降の安室奈美恵は本質的に言って虚構を演じるアイドルなのである。

AKB48の前田敦子や欅坂46の平手友梨奈などの通常のアイドルと安室との違いは、秋元康の言う通りにマネキンとして嘘を演じさせられるアイドルとは異なり、自己プロデュースで主体的に嘘を演じるという点だけだ。

そしてこの様な虚構の「安室奈美恵」のイメージの自己演出による再ブレイクの集大成であるベスト・アルバムの表題が、「BEST FICTION」(最高の作り物)だということに、安室というパフォーマーの本質が集約されている。


BEST FICTION(DVD付)

浜崎あゆみは女子の内面のリアルを吐露するアーティスト

一方で浜崎あゆみは、虚構を演じるアイドルの安室奈美恵と違い、詩によって自らの内面を吐露するアーティストである。

彼女の詩は虚しさや孤独と言った生々しい女子の内面のリアルであり、それが2000年前後には多くの若い女性から絶大な共感を得た。

体型や劣化も含めて全てがリアルで生々しい浜崎あゆみ

完璧に体型をキープし理想の虚構を演じ切る安室と違い、浜崎あゆみは激太りや劣化などで体型も崩れそれが非常にリアルで生々しい。

これは100%オバサン。

完全に身の回りにいるリアルな生々しいオバサンのルックスだ。

かつて女子の内面のリアルを吐露することでカリスマ的な人気を得た浜崎あゆみ。

そして現在の浜崎あゆみにも圧倒的な「オバさんのリアル」があるのだ。

現実逃避的な時代の空気が安室奈美恵を求めていた

アイドル的な虚構の存在である安室奈美恵とリアルを表現(体現)するアーティストである浜崎あゆみという対照的な二人の歌姫。

そして興味深いのは、虚構の存在である安室が最大のカリスマであったのは二回の震災の後ということだ。

SUPER MONKEY’Sからソロとなり大ブレイクした最初の全盛期は1995年の阪神大震災の後。

そして第二の神格化がピークに達したのが2011年の東日本大震災の後。

日本人が震災という絶望的な現実を見せつけられたことで、安室というアイドル的な虚構の存在に現実逃避していく。

「醜い現実よりも美しい嘘に夢を見たい」という時代の空気が安室人気を支えていたのだ。

安室の引退が意味するものと浜崎あゆみに求められる役割

この様にアイドル的存在として「美しい嘘」であり続けた安室奈美恵は2018年9月16日に芸能界を引退した。

この安室引退は一体何を意味するのか?

「美しい国」などという夢から目覚め、衰退する日本の生々しい現実を直視しなければならない時が迫っている。

その様なことを今回の安室奈美恵の引退は示唆している様に感じられてならない。

そして安室が引退して残されたリアルと向き合わなければならないこれからの日本において、浜崎あゆみがオバサンの惨めな心情や生々しい現実を伝えられるアーティストになること。

そのことがアーティスト浜崎あゆみに求められる役割であり、安室奈美恵を再逆転して真のカリスマへと返り咲く唯一の道ではないだろうか。

この記事の読者にオススメの記事

R&Bプロジェクト「SUITE CHIC」を結成するなど脱小室プロデュース後の安室奈美恵に非常に大きな影響を与えたm-floの代表曲「come again」の魅力を解説する記事。

転職支援サービスの紹介

転職を成功させたい方の為のお役立ちコンテンツ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする