世界的にも異様な日本の外食産業。ブラック業界にならざるを得ないその構造的問題

日本の外食産業は世界的にも非常に特殊で異様です。そして日本の外食産業はどうやってもブラック業界にならざるを得ない構造的な問題を抱えています。

そしてこの日本の外食産業の特殊さを示す典型的な例が、1970年代から普及しはじめ、1990年代から2000年代の不況とデフレ経済の中で躍進したファミレスチェーンによって日本独自の発展を遂げたファミレス産業です。

ファミレスという世界でも日本だけの独特の外食形態

安い価格でお手軽にレストランの様に様々なメニューを楽しむことの出来るファミレス(ファミリーレストラン)は、世界でも日本だけの独特の外食形態です。

アメリカでもヨーロッパでも、海外では「レストランはそれなりの高い金額を払って利用するもの」という社会通念があります。それなりの店であれば、ランチでも1人3,000円以上、ディナーであれば1人5,000円以上。これが欧米でのレストラン外食の料金相場です。

欧米におけるレストランは、日本のファミレスの様に1,000円前後の価格帯で、ラフな格好をした学生や子連れ主婦などの一般庶民、作業着を着た肉体労働の労働者などが、日常的に気軽に食事をすることの出来る場所ではありません。

価格帯の面でも食事のマナーなどの面でも敷居が高く、上流階級の人間かそれなりのお金を手にした金持ちの成功者が利用する場所、もしくは庶民にとっては結婚記念日など年に数度の特別なイベントでタキシードなどの礼服を着て正装して利用する場所。それが欧米における「レストラン」の概念なのです。

もちろんアメリカやヨーロッパにも庶民向けの安価な外食サービスとしてマクドナルドやピザハットなどはありますが、あくまでもハンバーガー屋でありピザ屋であり、提供するメニューを一部の品目に絞って業務を効率化し労力を極限まで削減することにより安価での食事の提供を可能にしています。そして欧米でのそれらの外食サービスでは、接客サービスの質も「それなり」です。

日本のファミレスの様に、安い価格帯で様々なメニューが楽しめるレストラン、しかも日本では「お客様は神様です」の精神でファミレスで働く様な低時給のバイトやパートに対しても接客サービスの要求水準が高く、海外の高級レストラン並みに接客サービスの質が高い。これは海外から日本に来た外国人にとってはカルチャーショックですらあります。

なぜ日本では低価格のレストランが運営可能なのか

なぜ先進国の中で日本でのみこの様なファミレスという低価格レストランという形態が運営可能であったかというと、低賃金で働かせることの出来る親の経済的な庇護の下にあるフリーターや学生バイトの若者が、かつての日本では豊富にいたからです。

アメリカや欧州では若者であっても独立・自立の意識が高く、「大学に行くなら自分で金を稼げ」「ハイスクールを卒業したら家を出ろ」という価値観が当たり前ですので、親元に依存せずに経済的に自活しなければならず、その結果、日本の外食産業で働くアルバイターの様な、経済的に自活不可能なレベルの低賃金で働くという選択肢は最初から持てないわけです。

日本は農地として使用できる国土の狭い山岳地帯の多い島国であり、食料の大部分を高い輸送コストを掛けた輸入に依存していますので、世界の中でも生肉・青果・野菜などの食材の価格が非常に高い国です。

以下の東北農政局のデータにあります様に、日本の食料自給率は38%と4割を切り、先進国の中でも非常に低い水準にあります。

日本と世界の食料自給率 – 東北農政局
http://www.maff.go.jp/tohoku/monosiritai/touhoku/jirei1.html

食料自給率が非常に低いという背景もあり食材価格が高く、本来は食材費がコストに上乗せされて高価格になるべき日本の外食産業ですが、集中調理施設で複数のチェーン店舗のメニューを調理する「セントラルキッチン方式」による業務効率化や、パートやアルバイトなどの低賃金の安い労働力の使用することでのコスト削減によって、世界的にも異常な低価格での外食サービス提供を実現してきたのです。

この様にパートやアルバイトなどの非正規の安価な労働力を前提とした既存の日本の外食チェーン産業は、その産業構造自体がブラック業界にならざるを得ない労働搾取的な構造となっています。

日本の外食チェーン産業は、夫や親などの経済的庇護を得ていて自らの賃金だけで自活する必要性の薄いパート主婦やアルバイト学生といった低賃金の非正規従業員の存在を経営の前提としていますので、その安価な労働力の供給が途切れてしまえば、チェーン店舗を運営に責任を負う店長などの正社員には非常に大きな負担が圧し掛かることになります。

そしてこの様なフリーターや学生バイトという若者達の安価な非正規雇用に依存していた日本の外食チェーン産業は、少子高齢化と若者の減少を原因とする労働力供給の減少によって、現在重大な危機に瀕しているのです。

24時間営業を維持出来なくなった外食チェーン産業

安価な非正規労働に依存し続けていた旧来的な日本の外食チェーンの崩壊は、若者の現象と労働力供給の減少によってすでに目前に迫りつつあります。多くのファミリーレストランで24時間営業を維持することが出来なくなりはじめているのです。

ファミレス「24時間営業」撤退、はたして「生産性」は上がるのか? – 講談社
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50683

「ガスト」や「ジョナサン」を展開するすかいらーくは昨年12月、深夜営業を大幅に縮小すると発表した。

同社はファミレスを全国で約2500店舗展開しているが、このうち約400店が24時間営業、約600店が深夜2時以降までの営業だった。このうち約750店舗について、2017年1月中旬から順次、深夜2時閉店、朝7時開店に移行する。同じ時期、「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングスも24時間営業の廃止を決定している。

しかし、これは外食産業・飲食業界の崩壊の序章に過ぎません。5年後・10年後には、旧来的な経営方法の外食チェーンの多くが既存の店舗の大半を維持することすら出来なくなる時代となります。

大量の安価な労働力に依存するという外食チェーン店の構造自体が、完全に現在の日本の超高齢化社会と合わないものになりつつあるのです。

そして、その様などう考えても立て直し不可能な絶望的状況の中でも経営を維持しようとする限界ギリギリの無謀な綱渡りが、外食産業に正社員として勤務する従業員に大きな負担を掛け、外食チェーン産業の異常なブラック化を生んでいるのです。

「いくら求人を出してもパートも見つからないしアルバイトも来ない。」その様な状況では正社員の従業員の方や店舗の責任者である店長が、その分まで長時間労働で負担を背負って多くの仕事をこなさなければなりません。

そこには1日12時間労働は序の口。1日18時間労働や20時間労働も珍しくないという長時間労働での地獄絵図の様な壮絶なブラック労働の世界が広がっています。

崩壊必至の飲食業界からは出来るだけ早く脱出するべき

もしも飲食業界に勤めているのなら、まだ少しでも若く労働市場や転職市場で正社員としての需要があるうちに、30代後半や40代などの完全に中年の年齢になって手遅れの状態になってしまう前に、出来るだけ早く飲食業界から脱出して転職してしまうべきです。

現在の深刻な人手不足の日本の労働市場では、30代前半までの年齢の元サラリーマンであれば、即戦力として特に中小企業などを中心に想像以上に高い求人需要があります。

将来の自分の為に積み上げていく努力と、目先の日銭を得る為に自分の時間と健康と精神を消耗していくだけの飲食業界の忍耐や理不尽。これは似て非なるものですので混同してはいけません。既存の外食産業・飲食業界の構造そのものが根本から崩壊しようとしている現在、飲食業界での苦労や忍耐の先には全く何も残りません。

たとえ会社の規模は中小企業や零細企業であっても、特に贅沢をする気もなく、何よりも日々平穏な気持ちで居られる暮らしと自分だけの私生活の時間を大切にしたいという私と同じ様なタイプの人間の場合、そういう目的に適った比較的のんびりと働けるホワイトな仕事や会社は、探せば意外と多くあります。

「情報発信者のプロフィール」のページに書いている通り、私も接客サービス業界大手のブラック企業から非正規労働の派遣社員への転職を経て、ホワイト零細企業に正社員として就職して、今は大学生時代以上にのんびりと在宅ワークで働いて生活している一人です。

私が現在勤めている会社は従業員10人未満の超零細IT企業ですが、「零細企業だからブラック」「IT企業だからブラック」ということなどはなく、給与面では年収380万円とそれほど多くの年収ではないものの、大半の大手企業よりも遥かにホワイトな環境で働くことが出来ています。

年収380万円でも地方では贅沢をせず質素に生活するのであれば十分以上の金額ですし、また会社からの給与の他に在宅ワークでのホワイトな労働環境で有り余った時間に行う副業での年70万円の副収入もありますので、年収450万円程度を稼ぎ毎月10万円以上の貯金が出来ています。

飲食業界や外食産業の仕事が大変で辛いという方、もっとのんびりと自分のペースで働きたいという方は、「中途採用だとホワイトな企業では絶対に正社員になれない」「転職をしてももっとブラックな中小企業でこき使われてさらに地獄を見るだけ」「転職失敗して非正規労働者やフリーターになったら人生は終わり」という先入観での思い込みや決めつけを一度捨てて、タイムリミットが来てしまう前に、転職という選択肢を本気で検討してみてはいかがでしょうか。

現実的にはサラリーマンの転職活動は困難でリスクもある

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面談の末、キャリアアドバイザーから「現時点では無理に転職を勧めません」とアドバイスされる場合もあるので、じっくり検討した後、しばらく経ってから再度転職支援サービスを利用することも可能です。

以上、「世界的にも異様な日本の外食産業。ブラック業界にならざるを得ないその構造的問題」の記事でした。

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