阿Q正伝のあらすじとメッセージの解説。魯迅はネットリンチの予言者

この記事は近代中国の偉大な小説家・思想家として知られる魯迅の小説である「阿Q正伝」のあらすじの解説とメッセージの考察です。

「阿Q正伝」は1921年に発表された魯迅の中編小説であり代表作です。

学校の課題や読書感想文などで「阿Q正伝の意味やメッセージを知りたい」という方へ。

この記事では大物ユーチューバーのsyamuさん(syamu_gameとは – ニコニコ大百科)で例えながら、中学生でも分かるくらい簡単に阿Q正伝という物語の本質と作者の魯迅が伝えたかったメッセージを解説していますので、是非お読みください。


大物ユーチューバーのsyamuさん

目次

阿Q正伝は現代日本のネットリンチの予言の書

「阿Q正伝」の本質的な意味は一体何なのか?

簡単に言えば「阿Q正伝」は現代日本のネットリンチの予言の書です。

阿Q正伝については「中国で最も早く口語文の西洋的技法を用いて書かれた魯迅の小説群のひとつ」「魯迅による清代の中華民族に対する啓蒙の書」など小難しい知識の解説も出来ます。

しかし、本当に魯迅が読者に対して伝えたかった本質やメッセージは、

  • ネットで炎上するバカは社会の弱者の底辺!
  • 炎上したバカをネットリンチして笑っているなんJ民やニコ生民も底辺のクズ!
  • お前らみんな目を覚ませ!

ということです。

魯迅は中国・清王朝末期時代から活動していた人物ですので、「遠い昔の外国の人」「今の自分には全く関係ない古典の作家」と思ってしまいがちです。

しかし、決してそんなことはありません。

「阿Q正伝」という小説は現代の日本でも、というよりもツイッターなどのSNSが普及し、匿名掲示板やインターネットでのネットリンチが横行する現代日本だからこそ、その本質とメッセージが見直されるべき予言の書のような作品なのです。

阿Q正伝の簡単なあらすじとストーリーの解説

以上の様に、前書きとして「阿Q正伝」という小説の本質的な意味を解説しましたが、次に阿Q正伝の簡単なあらすじとストーリーを書いて行きます。

魯迅が本当に伝えたかった「ネットで炎上するバカは社会の弱者の底辺!炎上したバカをネットリンチして笑っているなんJ民やニコ生民も底辺のクズ!お前らみんな目を覚ませ!」というメッセージを頭の片隅に入れながら、ストーリーを追ってください。

阿Q正伝は、疥癬(現代で言えばアトピーに近い皮膚の病気)持ちで、ハゲで家も仕事もなく字も読めない結婚すら出来ないが人一倍プライドが高く、「精神勝利法」によって心の中で勝手に相手に対して勝利宣言をしてプライドを保っている人物「阿Q」の伝記という体で描かれています。

阿Q正伝のストーリーをより視覚的にイメージしやすいように、阿Qの顔と名前は大物youtuberである「syamuさん」(syamuさんとは – ニコニコ大百科)に置き換えてあらすじを説明します。

syamuさんで学ぶ阿Q正伝のあらすじとストーリー

その昔、大阪府の貝塚市に家も職もなく名前すらはっきりしない、アトピーで無職のsyamuさんという男がいました。


アトピーで無職のsyamuさん

「自分は有名ユーチューバーHIKAKINの後継者である」と言って大物youtuberを名乗った事もありましたが、それを聞いたHIKAKINに怒られてからsyamuさんの名前を話題にするものはいなくなりました。


syamuさんを怒った有名ユーチューバーのHIKAKIN

syamuさんの本名も戸籍も日々の暮らしもよく知る人はおらず、人々も興味はなくただsyamuさんをバカにするのみでした。

syamuさんはプライドが高い男で、syamuさんを馬鹿にする者たちに打ちのめされると「ほならね理論」によって心の中で相手を見下して精神的に勝利していました。オフ会の参加が0人でも「世の中が間違っている」とか、「俺の魅力が分からないだけ」とか思うことで、自尊心を保っていたのです。

しかしsyamuさんはネット民に叩かれてから、なぜか人から一目置かれるようになりました。 人々はsyamuさんが言うことはデタラメだと思っていましたが、「ひょっとしたら本当に大物youtuberなのでは」という気持ちもあったのです。

そんな頃合にsyamuさんはAV女優をからかってネット民と一緒に大笑いし、AV女優は「syamuさんの罰当たり、お前は一生童貞だろう」と悪態をついて去りました。 syamuさんはその晩にAV女優の言葉を思い出しながら「確かに自分は一生童貞だ、これは人の道から外れたことだ」と考えました。


AV女優「syamuさんの罰当たり、お前は一生童貞だろう」

それからというもの、syamuさんの頭から女のことが離れなくなりました。 そこでツイッターの女性フォロワーに大量の精スプ(女性に見境なくDMを送りつける精子スプリンクラー行為)を繰り返し言い寄りましたが、女性フォロワーは恐怖で逃げてしまいます。

それを知ったHIKAKINは怒り、また女性フォロワーはsyamuさんを気味悪がるようになって、YouTube配信の再生数も伸びなくなりました。 食うに困ったsyamuさんは「このアカウントはもう駄目だ」とYouTubeアカウントを削除して姿を消しました。

季節が春から秋になった頃、syamuさんは新しい服を着て金を持って村へ帰ってきました。 村の人々は今まで何をしていたのかを問うと、街の名家で働いていたが、そこの旦那や人々が馬鹿だから村へ帰ってきたと言います。 やたらと羽振りが良く色々な着物を持っていたので盗品ではないかと疑う人もいましたが、証拠もないので戸締りに気を付ければ良いだろうと気に留めるだけでした。

その晩、大きな船がHIKAKIN家近くの川沿いに泊まり村は騒然としました。その船は有名ユーチューバーのもので、炎上軍が来たから村へと避難してきたという話でした。

syamuさんは炎上軍は謀反人で憎むべき相手だと思っていましたが、有名ユーチューバーがこのように恐れるなら炎上も悪くないと考え直して炎上軍に参加しようと思いました。 酔っていたsyamuさんはすっかり参加した気になって「炎上だ!炎上だ!」と叫びながら村を歩いてネット民から恐れられました。 しかし翌日遅くに起きた頃には炎上軍は鎮圧され、ネット民は普段通りに生活していました。

それから数日が経った頃にsyamuさんは寝ている所を叩き起こされ役人たちに連行されました。 炎上軍はHIKAKINを叩いており、syamuさんはHIKAKINバッシングに参加していた炎上軍である容疑で捕まったのです。

syamuさんの身に覚えはないことでしたが漢字もまともに読めないため誤解は解けず、やがて処刑されてしまいます。ネット民は「syamuさんは炎上軍で悪い奴だったに違いない、しかし引き回しの中で歌の一つも歌わないとは意気地のない奴だ」と不満気でした。


無実のまま処刑されたsyamuさん

Wikipediaで学ぶ阿Q正伝の簡単なあらすじとストーリー

以上が「syamuさんで学ぶ阿Q正伝のあらすじとストーリー」でしたが、一応元の阿Q正伝のあらすじとストーリーもWikipedia(ウィキペディア)から紹介しておきます。

■あらすじ

時代が清から中華民国へ変わろうとする辛亥革命の時期、中国のある小さな村に、本名すらはっきりしない、村の半端仕事をしてはその日暮らしをする日雇いの阿Qという男がいた。

彼は、働き者との評判こそ持ってはいたが、家も金も女もなく、字も読めず容姿も不細工などと閑人たちに馬鹿にされる、村の最下層の立場にあった。そして内面では、「精神勝利法」と自称する独自の思考法を頼りに、閑人たちに罵られたり、日雇い仲間との喧嘩に負けても、結果を心の中で都合よく取り替えて自分の勝利と思い込むことで、人一倍高いプライドを守る日々を送っていた。

ある日、阿Qは村の金持ちである趙家の女中に劣情を催し、言い寄ろうとして逃げられた上に趙の旦那の怒りを買って村八分になり、仕事にもあぶれてしまう。食うに困って盗みを働き、逃亡同然の生活を続けるうちに、革命党が近くの町にやってきた事を耳にした彼は、意味もわからぬまま「革命」に便乗して騒いだ結果、革命派の趙家略奪に関与した無実の容疑で逮捕される。

無知ゆえに筋道たてた弁明も出来ず、流されるままに刑場に引き出され、あっけなく銃殺されてしまった阿Qに、観客達は不満を述べ立てるのだった。

魯迅はこの阿Q正伝の物語を典型的な愚民の阿Qと典型的な中国社会を舞台として描いています。魯迅には中国社会への批判を通して人々を啓蒙する目的がありました。

阿Q正伝の意味と魯迅が伝えたかったメッセージの考察

次は「阿Q正伝」という作品名の意味と魯迅が小説を通して伝えたかったメッセージについて解説・考察していきます。

「阿Q」の意味についてはウィキペディアで以下の様に説明している解説の通りです。

■阿Qの意味

「阿Q」は便宜的な名として作者が設定した仮名である。「阿Q」という主人公の名前は奇妙に思えるが、中国南部(魯迅は浙江省出身である)では、「阿」は姓の前につく接頭辞で親しみの表現であり、「―先生」と同様に、現在でも使われている単語である。従って、『阿Q正伝』は阿Qの情けない人物像にもかかわらず、「Qちゃんの伝記」といった意味になる。

また「Q」という漢字文化圏ではあり得ない名前については、阿Qは人々から「阿Quei(あくい)」と呼ばれていたが、Queiの部分の漢字表記がどうしても判明せず、また注音符号(注音字母)では一般に判るまいとして、やむを得ずローマ字を略した名前を用いる、と設定している。

要するに「阿Q」は今で言えば「低脳先生」の様なニュアンスの呼び名であると言えます。

※低脳先生を知らない方はこちらをお読みください(低能先生とは – ニコニコ大百科)。

次に魯迅が「阿Q正伝」という小説を通して伝えたかった基本的なメッセージを簡単に解説しますが、こちらもウィキペディアに書かれている解説の通りです。

■背景

魯迅は日本に留学し、仙台医学専門学校(現東北大学医学部)で解剖学を学んでいた。ある日、教室で日露戦争の記録映画が上映される。その中にロシア側のスパイ容疑で捕まった中国人が銃殺されるシーンがあり、周囲で同胞の銃殺に喝采する中国国民の無自覚な姿に、魯迅は衝撃を受けた。これを契機に魯迅は医学から転じて中国の社会改革と革命に関心を深め、文筆を通じ中国人の精神を啓発する道に入った。

魯迅は本作で、無知蒙昧な愚民の典型である架空の一庶民を主人公にし、権威には無抵抗で弱者はいじめ、現実の惨めさを口先で糊塗し思考で逆転させる彼の滑稽な人物像を描き出し、中国社会の最大の病理であった、民衆の無知と無自覚を痛烈に告発した。物語の最後で、まったくの無実の罪で処刑される阿Q、その死にざまの見栄えのなさに不平を述べる観衆たちの記述は、同胞の死刑に喝采する中国人同胞の姿にショックを受けた作者の体験を反映する。

つまり魯迅は、同じ中国人が映画内で処刑される姿をただ眺めているだけの同朋の姿に衝撃を受け、その精神を批判するために、自分と同じ無知な愚民である阿Qが殺される様子をただ見ているだけの群衆を描くことによって、その醜さと愚かさを表現したということです。

以上の基本的な解説から、さらに一歩深く阿Q正伝のメッセージを考察していきます。

現代日本のネットリンチは阿Q正伝の物語と同じ

この様な阿Q正伝の概要や背景を理解すると分かると思いますが、現代日本のネットリンチは阿Q正伝の物語の構造と全く同じということです。

つまり阿Q正伝を現代に置き換えると

  • 阿Q=ネットで炎上しているバカ
  • 阿Qの処刑を見物する群衆=自分と同類の底辺を匿名でネットリンチしている底辺のクズ

という関係であり、糞みたいな学校生活や社畜人生の憂さ晴らしに匿名でネットリンチすることしか楽しみのない底辺のクズもネットで炎上しているバカと本質的に同類の底辺なのです。

この様に現代日本のインターネットでの底辺愚民同士の足の引っ張り合いは阿Q正伝と全く同じ構造であり、そこで生きる私達は阿Q正伝を無関係の他人事と言うことは出来ません。

私自身、syamuさんなどに対してネットリンチで中傷を繰り返し炎上を煽るなんJ民やニコ生民などのネット民に何とも言えない非常に苦々しい気持ちを抱いていましたが、阿Q正伝を読んで改めてその感情を自己分析すると

炎上を拡散してネットリンチを煽る行為は、実は自分自身の首を絞めていることと変わらない

ということを無意識のうちに感じ取っていたからではないかと思います。

ネットリンチ加担は自分の首を絞めることと変わらない

このネットリンチに感じる違和感の本質は、魯迅が阿Q正伝を通して行った問題提起と全く同じです。

ネットで炎上してリンチされているバカもそれをネットリンチするなんJ民やニコ生民などのネット民も同じ社会の奴隷であり本質的に同類なのです。

しかし、愚かであるがゆえに同類の仲間の炎上を煽りネットリンチ・ネット私刑を行い社会的に処刑してしまう。

この様なネットリンチやネット私刑によって社会はさらに息苦しく生きづらいものとなる。

そしてその悪影響は回りまわってネットリンチ・ネット私刑の加害者であるなんJ民やニコ生民などのネット民にも返って来て、ネット民たちの日々の生活も人目を気にしてビクビクするような息苦しく不自由なものになる。

そしてその日々の生活でため込んだ精神的抑圧やストレスを再びネットリンチなどによって憂さ晴らしするという悪循環。

結局、ネットリンチは自分で自分の首を絞めていることと同じなのです。

私達ネット民は目を覚まして、この愚かしいネットリンチ&ネット私刑の負の連鎖を止めなくてはいけません。同朋であるネット民同士で叩き合い足を引っ張り合うことは何の解決も生まないのです。

まとめ

この様に阿Q正伝は現在から100年も昔に中国で書かれた小説でありながら、現代日本の社会問題を痛烈に予言している全く色褪せない傑作です。

もしも阿Q正伝に興味を持った方は以下から購入して読んでみてください。


阿Q正伝 (角川文庫)

最後に現代の阿Qであるsyamuさんの素敵な癒し動画「ノスタルジック無職」でお別れしましょう。

以上、「阿Q正伝のあらすじとメッセージの解説。魯迅はネットリンチの予言者」の記事でした。

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