バブル景気に浮かれず民間ではなく堅実に公務員になった人間がバブル世代の勝ち組

かつて日本中が好況に沸いたバブル景気にも浮かれることなく、当時羽振りが良く華やかだった民間企業ではなく、当時では地味な印象だった堅実に公務員になった若者が、最終的にバブル世代の勝ち組となりました。

バブル期の日本では公務員への就職は見下されていた

バブル期は日本の経済成長が頂点を極め、日本中が異様な好景気に浮かれていた時代でした。

バブル時代 – Wikipedia

バブル時代(バブルじだい)とは、日本における安定成長期の1980年代後半から1990年代初頭の好況期のこと。バブル期とも言う。1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までのバブル景気(第11循環の拡張局面)の時。

■財テクブームと消費の過熱

バブル経済下では金融・資産運用で大幅な利益を上げる例が強調され、企業においても本業で細々と着実に利益を上げたり、保有株式の配当金等よる利益(インカムゲイン)を上げるのでなく、所有する土地や金融資産を運用して大きな収益(キャピタルゲイン)を上げる「財テク(○○転がし)」に腐心する例もあった。

潤沢な資金による買い漁りの対象は、NTT株の公開に伴う一般投資家による投資や、フェラーリやロールス・ロイス、ベントレーなどの高級輸入車、サザビーズなどが開催したオークションによるゴッホやルノワールなどの絵画や骨董品、にまで及ぶなど、企業や富裕層のみならず、一般人まで巻き込んだ一大消費ブームが起きた。

そしてこの様な異様なレベルに加熱していく好景気を背景に、特に好業績で営業規模を拡大する民間企業は採用枠を増大させ、就職戦線でも大卒の有効求人倍率が2.86倍に達するなどの圧倒的な売り手市場の中で、大学新卒者の獲得競争が巻き起こりました。

■就職売り手市場

民間企業が好景気を受けた好業績を糧に、更に営業規模を拡大したり経営多角化を行うために新卒者向けの募集人数を拡大し、学生の獲得競争が激しくなった。多く企業が学生の目を惹き付けることを目的にテレビで企業広告を行い、立派な企業パンフレットを作成・配布して学生の確保に走った他、青田買いの一環として、都市部の大学生が主宰するイベント系サークルやそれらが企画するイベントへの協賛を行った。

(中略)

有効求人倍率は、1991年に1.40倍を記録。リクルートの調査では、同年の大卒最高値は2.86倍になった。この時代に大量に採用された社員を指してバブル就職世代とも言われる。

この様に好景気を背景に華々しさを極めていた民間企業とは対照的に、バブル期当時の公務員は「給与が安い」と言われるなど民間と比較して地味でつまらない就職先とされ、就職活動を行う大学生からも過小評価される雰囲気となっていました。

民間企業の業績・給与がうなぎ上りだったことに比べ、景気の動向に左右されにくい公務員はバブル景気の恩恵をさほどには受けなかった。このため「公務員の給料は安い、良くて平均的」といった風評が大学生の間で蔓延して、「公務員はバカがなるもの」と見下されがちだった。とりわけ地方公共団体には優秀な新卒が集まりにくく、各団体は公務員の堅実性のPRを積極的に行った。

バブル期当時の日本では、敢えて華やかな民間企業には行かない様な地味で堅実志向の学生や、志望の民間企業には採用されなかった学生が就職する進路が公務員だったのです。

以下のツイートでは、「バブル時代の公務員は“民間で稼ぐ覇気のないダメ男”という扱いだった」「公務員試験に合格してもみんな辞退した」などという話もあるくらいですので、バブル期当時の若者の間でいかに一般の公務員が軽んじられて馬鹿にされる存在であったのかが伺い知れるかと思います。

バブル崩壊と不況によって逆転する民間会社員と公務員

しかし、この様な華やかな民間企業のサラリーマンと、地味で給与も安いと言われた公務員との関係は、バブル崩壊と不況によって完全に逆転します。

バブル期に隆盛を極めた民間企業は、バブル崩壊とその後の景気低迷によって大幅に業績が悪化し、倒産やリストラが相次ぎました。民間のサラリーマンの月給やボーナスは大幅に減俸され、民間企業の平均給与はかつて「給与が安い」と言われていた公務員の平均給与を下回る様になりました。

以下は国税庁による民間企業に勤めるサラリーマンの給与(年収)の推移ですが、平均給与は1997年(平成9年度)の467万円をピークに右肩下がりで下落し続け、2009年(平成21年度)のリーマンショック前後での急落を経て、現在はほぼ400万円前後へと大きく落ち込んでいます。

景気の良い民間企業の華々しさや高給に憧れて民間就職したバブル世代の多くは、倒産やリストラや経費削減の減俸で地獄を見ることになり、一方で地味で堅実な公務員を目指して当時は見下されていたバブル世代の新卒学生は、リストラや倒産の心配もなく待遇も給与も安定した安定職を得て社会の勝ち組となったのです。

就職は現在の雰囲気ではなく時代の先を読むことが大事

以上の様にバブル期の就職戦線など過去の歴史を振り返ると、本当の意味で就職活動で成功するためには、今現在の時代の雰囲気や風潮に流されるのではなく、周囲に流されずしっかりと足を付けて冷静に時代の先を読むことが非常に重要だと言えます。

景気の良さに浮かれて華やかな民間企業に就職した結果、その後のバブル崩壊と不況で地獄を見た多くのバブル世代がいた一方で、周囲から地味と見下されながらも堅実な進路を選択し絶対的な安定雇用を得た公務員が、長い目で見れば結果的にバブル世代での就職戦線の真の勝者となりました。

今でこそ「官民格差」「既得権益」などという言葉で世間から叩かれる公務員ですが、彼らは元々は華やかな民間企業のサラリーマンに就職した若者達から下に見られて馬鹿にされていた側だったのです。

私たちも彼らバブル世代の公務員の様に、たとえ下に見られて馬鹿にされても、周囲の風潮や時代の雰囲気に流されて自分を見失わず、時代の先を見据えてキャリアや進路を選択しなければなりません。

では不況時代のこれからの時代の勝ち組は、一体どの様な進路を選択をする若者でしょうか?以下の記事にその答えを書いていますので、是非お読みください。

参考:今後の日本では堅実と安泰を求めて大企業や公務員を目指す若者は破滅する理由

以上、「バブル景気に浮かれず民間ではなく堅実に公務員になった人間がバブル世代の勝ち組」の記事でした。

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