ホテルのフロント勤務で辛かったこと大変だったこと。元フロントマンの体験談

「フロントマン」や「フロント勤務」という言葉にどの様なイメージを持たれていますでしょうか。もしかすると、「立派なホテルのフロントに立つ華やかな仕事」「真面目でしっかりとした仕事」というイメージを持たれている方もいるかもしれません。

「情報発信者のプロフィール」のページに書いている通り、私は大学卒業後に新卒で業界大手のホテルグループに就職しフロントマンとして3年間ホテルに勤めました。

この記事では、そのホテルフロント勤務で自分自身にとって辛かったこと大変だったことなどを、元フロントマンの体験談として公開します。

私が勤務していたのは宿泊料なども庶民的な価格帯のビジネスホテルであったため、格式とブランドのある高級ホテルとは給与や待遇などがかなり異なるかと思いますが、宿泊関連・ホテル関連の就職や転職をご検討の方は、一般的なビジネスホテルのフロント勤務の実態ということで参考にしていたければと思います。

夕方からの混雑時のチェックイン業務が戦場の様に忙しい

今思い返して、ホテルのフロントに勤務していてとにかく大変だったと感じるのが、夕方からの混雑時の宿泊客のチェックイン業務が戦場の様に忙しかったということです。

私の勤めていたビジネスホテルは、駅から徒歩で10分ほどの場所に立地し、総客室数300室程度の大型のホテルでしたが、主に仕事で出張をするビジネスマンなどが利用するビジネスホテルということで、特に平日は満室率97%など連日ほぼ満室の状態でした。

客室数300室程度が満室になりますので、単純に考えて、300人の宿泊客のお客様のチェックインをフロントで捌かなければならないことになります。実際は連泊で滞在しているお客様もかなりいますので、300人全員のチェックインを捌くことはありませんが、平日は平均して200人以上のチェックインを捌くのが日常でした。

宿泊客が都合よく平均的にばらけてホテルに来てくれればフロントでのチェックイン業務もまだ楽なのですが、お客様もビジネスマンですので仕事などの都合があり、宿泊客の大半は業務や打合せが終わった後の夕方5時頃から8時頃にかけての約3時間の間にフロントへと殺到してきます。

その為ラッシュの時間帯に多くのお客様が一度に来られた時にはフロント前は大混雑し、フロントの内部は戦場の様になります。

このチェックイン時の来客ラッシュの時間は時間的には3時間程度ですが目の回るくらいの異常な忙しさで、普通の仕事の1日分の体力と精神力をその3時間の間で消耗してしまう感じでした。

細かく煩雑でミスをしない注意力が必要な事務的な業務

フロントマンの業務というと、フロントでホテルに来たお客さんを応対してご案内する接客の仕事、という様なイメージを持たれているかと思いますが、実際はその接客の仕事と共に客室の予約管理などの事務的な業務が非常に大きなウェイトを占めます。

もしもフロントマンがただお客様に応対するだけの接客の仕事であるのなら、一度に沢山のお客様が来ても特に問題ないと思いますが、フロントの業務としてこの客室の予約管理や予約の電話受付なども接客と同時にこなさければならないため、宿泊客が殺到するラッシュの混雑時のフロントは戦場の様な忙しさとなるのです。

宿泊予約が完全にコンピューター管理され、全てをオートメーションで処理できる様なシステムがフロント業務も非常に楽になるのですが、現実的には予算などの面で難しく、なかなかその様な最新のシステムを導入出来ていないホテルが大半だと思います。

私の勤務していたビジネスホテルでも、コンピューターによる宿泊予約・客室管理システムは導入していましたが、非常に古いシステムを使い続けており(フロントで使用するマシンのOSもWindows98でした)、コンピューターへの予約登録と共に紙の宿泊票へも宿泊客の情報を記入するなど宿泊予約・客室管理は完全にはオートメーション化されておらず、中途半端にコンピューター管理を導入していることでフロント業務は逆にかなり煩雑なものとなっていました。

ホテルや宿泊施設では、客室のダブルブッキングなどのミスは絶対にあってはならないことですので、その確認やチェックなどに非常に神経を使いますし、非常に忙しい中で走り書きした宿泊票からパソコンの管理画面に転記するお客様のお名前なども、決して打ち間違いなどが無いように入力していかなければなりません。

忙しく、そしてミスが許されないということで、特にフロントでのチェックイン業務は非常に神経を消耗する業務でした。

本来ボーイが行う仕事もフロントで行わなければいけない

これは私が務めていたホテルだけではなく、おそらく大半のビジネスホテルでも同様だと思いますが、かつてに比べて一般的なビジネスホテルの宿泊料や収益が下がり続ける中、私のホテルでは経費削減のためにボーイを雇わずフロントマンがボーイの仕事も兼ねていました。

お客様のお部屋への荷物運び、お客様の車の立体駐車場への誘導、各客室へのアメニティグッズ(シャンプー・石けん・歯ブラシ・くし)などの補充、これらも全てフロントが担当して行う業務となっていました。

比較的それほど忙しくない時間であればいいのですが、チェックインが殺到する夕方の時間帯などはフロント業務だけでもギリギリという感じでしたので、ボーイの仕事も兼ねることはフロントではかなりの負担になっていました。

中には大量の荷物や複数の大きな荷物をホテルに持ち込まれるお客様もいましたので、その場合は一度では全ての荷物を部屋に運びきれず、10階などの客室から1階のフロントまで、何度もエレベーターで往復して部屋に荷物を運び入れることになりました。

不規則な勤務時間帯の非常に長時間の勤務形態

この様な業内容のフロント勤務ですが、その勤務形態は、不規則な勤務時間帯の非常に長時間の勤務形態ということが言えます。

ホテルフロントには大きく分けて日勤と夜勤という2つの勤務時間があり、日勤は通常の会社員などと同様に朝の8時頃にホテルに出勤して大体夕方6時頃に退社するパターン、夜勤は夕方4時頃に出勤して翌朝10時頃まで勤務するパターンです。

夕方5時前後と朝の9時前後には、それぞれチェックインとチェックアウトのラッシュのピークがあり、その時間帯は日勤のフロントと夜勤のフロントの勤務時間が重なり、一緒にフロントで対応するという形になっていました。

夜勤の場合は夕方4時頃に出勤して翌朝10時頃まで勤務、途中で食事休憩やペアを組む夜勤と交代しながらの2時間ほどの仮眠時間はあるものの、拘束時間としては夜勤の場合は18時間連続勤務ということになります。

ただ、実際は勤務時間前にフロント業務引き継ぎのミーティングなどもあり夕方3時半頃には出社していなければならず、また平均して毎日1時間ほど残業しての業務がありましたので、夜勤のフロント勤務での実質的な拘束時間は大体20時間程度になっていました。

そして個人的に非常に辛かったのが、この日勤と長時間の夜勤の勤務を繰り返す様な不規則な勤務形態でした。

1週間の勤務表では、

月曜日と火曜日は日勤、そして水曜日の夕方から木曜日の午前中まで夜勤、そして金曜日には1日休んで、土曜日の夕方から日曜日の午前中まで夜勤、そして翌週の月曜日と火曜日は日勤…その後も同様に続く。

という様な形になり、日勤と夜勤の勤務が不規則に繰り返されるシフトとなっていました。

フロント勤務の辛さとしては「ずっと立ちっぱなしで足が疲れてふくらはぎがパンパンになる」などが言われることがありますが、私自身は立ちっぱなしの業務ということにはフロントで勤め続けているうちに慣れました。

ただ、逆にどうしても慣れなかったのが、この夜勤と日勤の不規則なシフトで、翌日が日勤なのに夜になっても眠れない、逆に夕方から夜勤なのに朝のうちに眠れないという感じで、夜勤と日勤が不規則に繰り返される為に完全に生活と睡眠のリズムを崩してしまいました。

私自身はこの様な生活を延々と繰り返して行くうちに体調を崩して3年でホテルを辞めることになるのですが、やはり不規則な勤務時間帯の非常に長時間の勤務形態というのは身体に非常に大きな負担を掛けると思います。

夜勤が体に与える悪影響や深刻なダメージについては以下の記事で詳しく書いています。

参考:【体験談】不規則な夜勤生活をしていた私の身体に起こった異変。寝ても寝ても疲れが取れない

ただ、私が就職したホテルグループは一応業界大手でしたので、他の中小規模のホテルから転職して来たホテルマンの話では、他のビジネスホテルに比べると勤務時間なども良心的な方であり、まだまだマシな勤務状態だと言っていました。

その転職して来たホテルマンの話では、以前勤めていたホテルでは、夕方4時から夜勤として出勤し、夜勤明けの翌日からさらにぶっ続けで夜勤に入り、その翌日の昼頃にようやく勤務が終わりホテルから家に帰れる、という様な勤務シフトを強いられていたとのことでした。

連続40時間を超える壮絶な勤務形態ですが、これだけの激務にも関わらず給与も非常に少ないということで、そのホテルの待遇に我慢できずに辞め、私の勤めていたホテルに転職して来たという話でした。

この様な話を聞いても、私の勤めていたビジネスホテルや大手ホテルグループが特別にブラックだったいうよりも、一部の高級ホテルなどを除いてホテル業界全体が、しんどい仕事を課せられるブラック業界の傾向があるということは言えるかと思います。

身体にも負担の掛かる長時間の激務の割に給与が低い

この様に夜勤での長時間の連続勤務などがあり、身体にも負担の掛かる激務であるホテルフロントの仕事ですが、その給与は世間でイメージされているよりもかなり低いです。

大卒新入社員としてホテルグループに正社員として就職して3年間フロント勤務した私の給与は、月間300時間労働で額面の月給が20万円、手取りで月給10万円台半ばちょっとという感じでした。

しかも若手のうちは給与が低いが昇給が多いということもなく、10年前後は正社員として勤めている30歳前後の中堅で役職持ちのフロントの上司の場合も、月間300時間労働で給与の額面は月給25万円弱、手取りでギリギリ20万円行くか行かないかという程度でした。

この様に基本給だけでは10年務め続けた中堅の正社員でも300万円程度とかなり厳しい給与の状況でしたが、かつてに比べて一般的なビジネスホテルの宿泊料や収益が下がり続ける中、私の勤めていたホテルでも社員のボーナスや賞与もまたかなり減らされていて、ボーナスの支給金額は1ヶ月未満という状況でした。

帝国ホテルなどの一部の高級ホテルでは、ホテルの客室単価も高く収益性が高いため、私の勤めていたビジネスホテルよりも遥かに多くの給与を得ることが出来るかと思いますが、一般的な普通のビジネスホテルのフロントマンやホテルマンは大体この程度の給与水準だと考えて間違いないかと思います。

正直に言って、月間300時間労働という長期間の勤務、そして非常に神経を消耗する激務には全く見合わない給与でした。

ホテル勤務のブラックさや過酷さ、厳しい待遇については以下の記事でも書いています。ホテル業界への就職を検討している方は、是非こちらもお読みください。

参考:ホテル関連の仕事は正社員でも一部の一流高級ホテル以外は想像以上の薄給激務です

こんな人はホテルでのフロント勤務に向いている

上記で説明してきました通り、ホテルでのフロントマンの仕事は不規則な長時間勤務の激務で給与水準も低く、あまりオススメは出来ませんが、こんな人はホテルでのフロント勤務に向いています。

長時間の不規則な勤務に耐えられる体力がある

私自身、不規則な勤務で身体を壊してホテルを辞めることになりましたが、長時間立ちっぱなしの不規則なシフトの勤務にも耐えられる体力があるということが、過酷なフロントでの勤務では一番重要なことです。

私の勤めていたホテルの職場でも、同僚や先輩・上司の大半が30代前半までの比較的若い世代で、40代以上の社員はフロントでは一人も働いていませんした(フロントではなくバックヤードの総務や経理などでは50代のベテランの社員が何人か居ました)が、若く健康でないと体力的にフロント業務をこなし続けるのが厳しい、という部分はあったと思います。

清潔感のある服装や身だしなみをきちんと出来る

これは社会人として当たり前のことですが、フロントというホテルの最前線でお客様に接する部署での仕事ですので、しっかり真面目な印象を与え清潔感のある服装や身だしなみをきちんと出来るかということは重要になります。

これはホテルのフロントマンにはそのホテルの制服が支給されますし、サラリーマンや社会人としては当たり前のことですので大半の方は問題無いかと思いますが、毎朝きちんとヒゲを剃る、余りに奇抜な髪型にしない、派手な色に髪を染めたりしない、ネクタイをきちんと締める、とかいう基本的なことです。

このことについては私も特に大きな問題ありませんでしたが、仕事中に履く革靴をきちんと磨く様に上司から注意されたことがあります。

ミスなく正確に手早く事務的作業を処理できる

ホテルのフロント業務というと接客業の仕事というイメージがありますが、それと同時に事務的作業のウェイトもかなり大きく、チェックインのラッシュの時間帯など非常に忙しい中でも、ミスなく正確に手早く膨大な事務的作業を処理する能力が求められる。

ホテルのフロント勤務の場合、客室をダブルブッキングしてしまうなどのうっかりミスも信用問題に関わりうっかりでは済みませんので、ミスなく正確に手早く事務的作業を処理できる注意力が非常に重要になってきます。

私自身がフロント勤務を辞めた直接の理由は、不規則なフロント勤務の生活で身体を壊してしまった為ですが、私は特に事務作業でのミスなどが多く、就職から半年後には「自分はフロント勤務にはあまり向いていないのではないか」と思い始めていました。

ホテルの仕事は非常に過酷で割に合わない

この様に拘束時間の長さや業務の忙しさ、不規則な勤務時間など過酷さ、そして給与の低さなどの面で、フロントマンなどのホテルの仕事は非常に過酷で割に合わない仕事であるという結論にならざるを得ません。

私は現在はWEB制作関連の仕事をしていますが、毎日死ぬような思いで働いていたビジネスホテル勤務時代とは比べ物にならないほどホワイトで負担の少ない仕事で当時より遥かに高い給与を得ています。

参考:未経験者がWEBクリエイターになるために必要なスキル。CSSやHTMLの知識やスキルは全く無くとも良い

逆に言えば、ホテル業界は異常に過酷な激務でありながら給与も低いというあり得ないほど非常にブラックな業界であったということです。

以下の記事は元ホテルマンの視点でホテル業界への就職を検討している方に向けてのアドバイスです。ホテルの仕事のブラックな実態を聞いても「どうしても憧れのホテル業界へ就職したい!」とお考えの方は、失敗して後悔したくなければ絶対にこちらの記事もお読みください。

参考:ビジネスホテルへの就職はおすすめ出来ない。ホテルで働くなら高級ホテルかリゾートホテルを選ぶべき

また、現在ホテルに勤務していて非常に辛く大変な思いをされている方もいると思います。

私自身ホテル業界経験者なので断言出来ますが、はっきり言ってホテルは普通の人間には耐えられないほどブラックな職場です。

本当に耐えられないほどホテルの仕事が辛い場合は、私の様に体がおかしくなってしまう前にホテル業界から異業種への転職をご検討下さい。

私は現在比較的ホワイトな零細企業でWEB関連の仕事をしていますが、激務で体を壊してホテルのフロントマンを辞めた後はしばらく大企業の工場で働いていました。

大企業の工場はぶっちゃけ労働環境が非常にホワイトで賃金や福利厚生などの待遇もかなり良いので滅茶苦茶おすすめです。

工場労働は常に一定のペースでの単純作業の繰り返しなので、ホテルでの戦場の様に忙しい接客業務・神経をすり減らす事務仕事と違って働いていて精神を消耗しません。また大手の工場勤務であれば、非正規雇用にも関わらず薄給激務のホテル正社員の倍の給与が貰えます。

工場によっては無料の寮なども完備で住居費の支出を0円にすることが出来、馬鹿みたいに貯金を貯められますので、とにかくすぐにお金を稼いで貯めたいという方には最適な仕事です。私自身の実体験から知った工場勤務のメリットや素晴らしさについて、以下の記事で詳しく説明説明していますので是非お読みください。

参考:人並みに稼ぎたいフリーターには工場勤務が一番ホワイトでおすすめ

大手の工場勤務ではまともな職歴の全くないフリーターでも、住居支給も含めて実質的に500万円の年収を得ることがますので、未経験者でも余裕で人並み以上に稼ぐことが出来ます。

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面談の末、キャリアアドバイザーから「現時点では無理に転職を勧めません」とアドバイスされる場合もあるので、じっくり検討した後、しばらく経ってから再度転職支援サービスを利用することも可能です。

以上、「ホテルのフロント勤務で辛かったこと大変だったこと。元フロントマンの体験談」の記事でした。

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