経済成長期:モノ消費→現在:コト消費→次の消費文化:1億総アイドル時代

経済成長期の日本では商品を買うモノ消費が王道とされ、そしてバブル崩壊と平成不況を経た現在ではコト消費がブームとなってします。そしてコト消費の次にこれから日本に訪れる消費文化は「1億総アイドル時代」です。

この「1億総アイドル」こそが、現在の「コト消費」と呼ばれる消費文化がさらに成熟して究極進化を遂げた形です。

モノ消費→コト消費→1億総アイドル時代

この字面をだけ見ると「なぜ消費文化の話が、次はいきなりアイドルの話に飛ぶのか?」と思われるかもしれません。しかし、この3段階の流れは本質的な意味で決して切り離せない地続きの概念なのです。

なぜなら、経済成長期以降の日本において、コモディティ化した商品・サービス以外の消費は全て、本質的に言えば「自己承認欲求を満たす為の手段」であるからです。

つまり、非コモディティ的な商品・サービスの消費行動の本質を突けば、「消費者はアイドルの様に持て囃されるために消費をしている」ということなのです。

■コモディティ化とは

競合する商品同士の差別化特性(機能、品質、ブランド力など)が失われ、価格や買いやすさだけを理由に選択が行われること。機能や品質面で大差のない製品が多く流通し、消費者にとって「どの会社のものを買っても同じ」状態になること。

商品がコモディティ化すると、費者の商品選択の基準としての「価格」の存在が大きくなり、メーカー側は商品価格を下げざるを得ない。これによって、同様の商品同士での価格競争が起こりメーカーの薄利提供が続くことになる。

では、「消費者は持て囃されるために消費をしている」という観点から、経済成長期の日本のモノ消費、そして現在のコト消費、そして次には近未来の1億総アイドル化へ至るという消費文化の成熟の歴史を時系列で説明していきます。

ブランド品や個性的な物を所有して持て囃された時代

「消費者は持て囃されるために消費をしている」という観点から、モノ消費の時代の本質を考えれば、それは「消費者はブランド品や個性的な物を所有して持て囃された時代」と定義することが出来ます。

これはバブル期の日本の消費文化を思い起こしてもらえばいいかと思います。

リア充であれば、高い外車を買い、高級なスーツを着て、高級腕時計やブランド物のバッグを身に付ける。この様な高級品を所有する消費スタイルが消費者の憧れであり、それを実現することで他人が羨む対象となれ、持て囃されることが出来たのです。

そして、このようなモノ消費の時代では、一方でまたヲタクの世界でも、フィギュアやプラモデルを大量買いするなどのコレクション行為が、ヲタクの仲間の中で尊敬を集める行為でした。プレミア品などの珍しい品物を所有するヲタクは、一目置かれることが出来たのです。

小さな子供達の間でも、この時代はガチャポンやビックリマンチョコなどが流行りました。ビックリマンチョコは30円ほどのチョコ菓子とおまけのカードがセットになった商品でしたが、珍しいキラカードを所有している子供は、他の子供から羨ましがられることが出来ました。

このモノ消費の時代を言い表す特徴としては、「所有する」ということが非常に尊ばれた時代ということが言えます。

そしてこの所有することが尊ばれるモノ消費の時代において、「所有する」という行為の対象はモノだけに限らず、知識という対象についても言えました。

モノ消費の時代はウンチクなどの知識が豊富な博識の人間が非常に尊ばれた時代でした。

バブル真っ盛りに連載開始され人気を博した人気漫画の「美味しんぼ」などは、まさにこの様な当時の時代の風潮を反映している作品です。

テレビでも「アメリカ横断ウルトラクイズ」「クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!」「たけし・逸見の平成教育委員会」などが高視聴率を叩き出していたのはこの時代で、スペシャル特番の「1億2000万人の平成教育テレビ」では現在のクイズ番組では考えられない瞬間最大視聴率38.3%という記録的な高視聴率を記録しました。

最高視聴率38.3%!フジテレビが凄すぎた夏~1992年『1億2000万人の平成教育テレビ』より/懐かし番組表 – テレビPABLO
https://pablo.click/tv/column/9900/

今年で30回目の放送となる、フジテレビ夏恒例の“27時間テレビ”。現在の正式名称は『FNS27時間テレビ』だが、1987年の第1回は『FNSスーパースペシャル一億人のテレビ夢列島』で、放送時間は約24時間だった。総合司会をタモリと明石家さんまが務めた初回の視聴率は24時間平均で19.9%、瞬間最高視聴率が38.1%という驚異的な数字を叩き出し、フジテレビの勢いが鮮明となった。

これまでの29回の放送の中で、この年の記録に迫るのは、今日振り返っている1992年7月18日の『テレパル』番組表の19時にある『FNSの日スーパースペシャル「1億2000万人の平成教育テレビ」』だ。初回から続いた“テレビ夢列島”というタイトルがはずれ、単体の番組『たけし・逸見の平成教育委員会』をベースに25時間放送するという初の試み。この変革は功を奏し、平均視聴率で歴代第2位の19.0%、瞬間最大視聴率は歴代最高の38.3%を記録した。

『たけし・逸見の平成教育委員会』は1991年10月にスタートしたクイズ番組で、中学校の入試問題などを大人の回答者が答える形式で、“先生”をビートたけしこと、本名名義での北野武、“学級委員長”を逸見政孝が務めていた人気番組。逸見さんは残念ながら他界してしまったが、“平成教育委員会”は現在でも時々スペシャルで放送されるフォーマットだ。

また、全巻1セットで数10万円もする百科事典などを家に備えて「多くの知識を所有していること」が、文化人として一つのステイタスシンボルであったのもこの時代の流行でした。

ですので「モノ消費」という言葉が言われていますが、より厳密に言えば「所有消費」というのが、この時代の消費文化を最も適切に言い表している言葉です。

基本的にこのモノ消費の時代は経済成長期までの日本の消費文化ですが、2000年代前半頃まではこのモノ消費の余波は続きました。

充実した時間や特別な体験を買い持て囃される時代

そして、2000年代中盤あたりから今現在に至るまで、インターネットとmixi(ミクシィ)・Twitter(ツイッター)・Facebook(フェイスブック)・Instagram(インスタグラム)・LINE(ライン)などのSNSの一般層や若年層への普及によって、モノ消費(所有消費)に変わる新しい消費の流行が本格化していきます。それが「コト消費」です。

■コト消費とは

商品やサービスを購入することで得られる、使用価値を重視した消費行動。

単なる所有では得られない、特別な時間や体験、思い出、人間関係などに価値を見出すもので、具体的には、旅行やレジャー、スポーツ、エステ、セミナー、習い事、趣味、芸術鑑賞、イベント参加、パーティー、安心・安全、健康、快適、環境配慮などに関して、お金を使うことを指す。

「消費者は持て囃されるために消費をしている」という観点から、今現在のコト消費の時代の本質を考えれば、それは「充実した時間や個性的な体験を買い持て囃される時代」と定義することが出来ます。

そして、このコト消費の隆盛はSNSの一般層への普及と密接に繋がっています。

コト消費はインターネット上のSNSでリアルな生活の充実をアピールする「リア充アピール」の手段となっているということです。

モノ消費は不況や景気低迷などによる可処分所得の制約によって落ち込んではいましたが、その趣向をブランド化から個性化へと変えることで、2000年代の前半までその余波を継続していました。

しかし、mixiが2004年に誕生したことを嚆矢に2000年代中盤からSNSがその普及率を拡大していくに伴い、消費行動は本格的にリア充アピールの為のコト消費へと変容していきます。

日本のSNS、利用者は4,289万人で普及率45%に……ICT総研調べ – RBB TODAY
https://www.rbbtoday.com/article/2011/12/27/84625.html

上記はネット利用者に占めるSNS利用率の推移ですが、2009年から2014年にかけての5年間で31.7%から58.6%へとその利用率が急激に上昇していることが示されています。

体験などを得るコト消費としてはコンサートなどがその典型例として挙げられますが、SNS利用率と同期する様に2010年代に入り急激にその売り上げと市場規模を伸ばしています。

音楽業界のビジネスモデルが変わる?!『コト消費』に訴求してCDが売れない時代に対応する – 時々役に立つブログ
http://growth-ideas.com/marketing-music

Instagramではロックなどの音楽フェスティバルや音楽祭を表す「フェス」は30万投稿以上されている人気タグですが、キラキラと充実した楽しい時間をSNSでアピールするリア充アピールの巣窟と化しています。

Instagram #フェス(投稿305,096件)

旧来の「モノ消費」に対して「コト消費」という言葉が言われていますが、より厳密に言えば「つながり消費」というのが、今の時代の消費文化を最も適切に言い表している言葉です。

つながりとは、家族や友人や恋人と言った身近な人間と一緒に充実した時を過ごすことでの人と人のつながり、現場で皆で感動を共有することでの人と人のつながり、そして最も大きいのが2000年代の中盤以降から急激にその比重を増してきたSNSでの人と人とのつながりです。

何かを所有すること自体を目的化とした旧来の「所有消費」(モノ消費)に対するカウンターカルチャーとして、商品やサービスを媒体に人とつながることを目的とした「つながり消費」(コト消費)の文化ということが言えます。

現在の日本では、お金と時間を費やし「インスタ映え」を気にしたスポットでの食事や旅行、レジャーなどを行うという消費行動も女性を中心に流行していますが、これはまさにインターネット上の仮想空間であるSNSでの人と人のつながりで見栄を張ってリア充アピールして持て囃されるためだけの行動です。

■インスタ映えとは

写真共有サービス・SNSの「Instgram」(インスタグラム)に写真をアップロードして公開した際にひときわ映える、見栄えが良い、という意味で用いられる表現。インスタグラムを念頭において写真写りが良いと述べる言い方。

しかし、この様な自己承認欲求を満たしたいがための無理に行き過ぎたリア充アピール的な消費行動は、SNSを利用する現在の人々の心を空虚感や疲労感といったSNS疲れ、インスタグラム疲れと言った症状で蝕みつつあります。

自分がアイドルとして扱われる権利を直接買う時代に

そして、SNSなどでのつながりの関係における自己承認をインセンティブに消費行動を行う「コト消費」の流行の次なる段階として、「1億総アイドル時代」がまもなく訪れようとしています。

「消費者は持て囃されるために消費をしている」という原則から、これからまもなく到来する近未来の1億総アイドル消費の時代の本質を考えれば、それは「自分がアイドルとして扱われて賞賛され人々に受け入れられる権利を直接買う時代」と定義することが出来ます。

チヤホヤされて自己承認欲求を満たす為に、消費によって高いお金を払い膨大な時間を掛けてインスタ映えする写真をインスタグラムに投稿をする。これが現在のコト消費の実相です。

しかし、消費の目的の本質を考えれば、そんな面倒でまどろっこしいことをせず、最初から自分がアイドルの様にチヤホヤされる権利を買ってしまえば効率がいいわけです。

自分がアイドルとなってしまえば、インスタ映えを狙ってお洒落な高いレストランで食事をしたり、綺麗な景色の国に旅行をしたりする必要もありません。

アイドルが朝から1日中ずっと家に居て寝巻のまま着替えずゴロゴロしていようが、そのアイドルのヲタク達は「そんな姿も可愛い!」と絶賛してくれます。

下は女性アイドルグループであるモーニング娘。に所属する道重さゆみのブログ記事です。

道重さゆみ(モーニング娘。)公式ブログ「ヤバくない?」 – GREE
http://gree.jp/michishige_sayumi/blog/entry/505852416

今日、朝から、基本、この状態(笑)

ベッドに仰向けになり、
お腹にパソコンを置き、

ひたすらパソコン!!!!

パソコンいじるか、
iPhone触るか、
ヨーグルト食べるか、
くらいしか行動してなぃ(笑)

リアルにお腹がパソコンの熱で熱くなってきた。

沸騰、沸騰~(o>ω<o)

そして、このブログ記事に対するヲタク達の下のコメントを見てください。こんなズボラの姿を晒しても「赤ちゃんみたいで可愛い!」「ラッコみたいに可愛い!」「リラックスした姿が可愛い!」と絶賛の嵐が巻き起こる始末です。

L♪♯いつもモンプラ協力ありがとう 10/9 20:28
何か赤ちゃんみたいだね

政 10/9 20:45
ヤバいよヤバいよ~

なんてね~(笑)(^-^;

普段忙しいと思うから,オフの日は好きな事してね(^_-)☆

そうま 10/9 20:47
さゆちゃんは今日はOFFだったんだね

お腹の上でPCを扱うなんて器用だね…と言うよりラッコみたいだね

四国はココ。(旧:道重親方のちゃんこ番) 10/9 20:53
うーむ、ラッコみたいだ。

でもそんな姿もカワイイぞ、ラッコみん。

サッキー 10/9 20:58
その状態いいね
その状態のさゆも可愛い
今日はお休みなのかな?
ゆっくり休んでね

ジュン子ちゃん 10/9 21:05
何それ~超キャワイーんですが

らいちゅ 10/9 21:17
やばくなーい
インドアぐだぐださゆみんだーいすき

モカ★ 10/9 21:38
さゆみん可愛いですねっ(^w^)2枚目の写真、、、子犬みたいっ(^w^)

ヒロ 10/9 22:13
そんなさゆも可愛い

きみきみ 10/9 22:57
可愛いじゃん、さゆ♪

いつもは、絵里の画像を楽しみに、ゲットさせていただいてますが、
今日のさゆ、いいね

sayu peace 10/10 00:22
リラックスモード 丸出しですね

これはこれで かわいい

くろねこ 10/10 02:36
おお、ヒッキーだね。おいらと気が合いそうだ。

リュウ2号 10/10 02:42
さゆのフード姿が可愛いです!

気温も低めだったし!お腹を温めてちょうど良かったのかも!

さゆ大好き!

リスペクト神君・徳川家康公 10/10 06:16
さゆちゃんは、可愛いだけじゃなくて、器用なんだね。
その状態でパソコン、使うなんて…
真似できないなぁ(笑)

ウリボー 10/10 13:25
やっばー

可愛い
めっちゃ可愛いです

そんなのもいいと思いますよ

パンプルムース 10/10 17:46
部屋着も
かわゆいなぁ

モーニンググローリー 10/10 18:24
しっかし、さゆはピンクが似合うねぇ

マキャット【off】 10/11 10:23
すごぃ格好だね

でも、可愛ぃんだなぁ

インスタグラマー達が自己承認欲求を得る為に、血反吐を吐く思いでインスタ映えするスポットに遠出し、インスタ映えする写真を必死で投稿してアピールしてようやく得られる対価を、ただ1日中家に居てグータラとパソコンを弄っているだけで、アイドルである彼女は得られているのです。

「コト消費」時代の次なる段階として現れる「1億総アイドル時代」は、かつて消費によって自己承認欲求を得ようとしていた人々がこの様なアイドルになろうとする時代です。

ヲタクがアイドルにコストを払うのではなく、逆にアイドルがヲタクにコストを払う時代

そして、一般の人々が社会的な自己承認欲求を満たす為に「自分がアイドルとして扱われて賞賛され人々に受け入れられる権利を直接買う」時代である「1億総アイドル時代」では、需要と供給の逆転により、ヲタクがアイドルにコストを払うのではなく、逆にアイドルがヲタクにコストを払うという逆転現象が発生します。

そして、アイドルの自己承認欲求を的確に満たすことの出来るヲタクは、「カリスマヲタク」とされ、彼(彼女)に承認されることがアイドル達の羨望の的となります。

昭和の時代の価値観であれば、多くのヲタク達が1人のアイドルに羨望の眼差しを向け奪い合う世界でしたが、誰でも容易に自己発信してアイドルとなれるSNSの普及と成熟により、逆に多くのアイドル達が1人のヲタクを奪い合うという事態が生じるのです。

これがまもなく訪れる未来の日本の「1億総アイドル」の消費形態です。

そしてこの1億総アイドル時代では、「消費」とはアイドルが自分のヲタクから自己承認を得る為の「コスト」を意味しています。

この「コスト」とは、様々なサービスであったり時間であったり若さであったり知識であったりです。アイドルはそれらをコストとしてヲタクに無償で差し出すことによって、その対価としてヲタクからの承認と支持を得て自己承認欲求を満たされる。

そこにはもはや「お金」の動きは介在しません。つまり、消費文化の究極進化形である1億総アイドル時代とは、「お金がその価値と意味を失う時代」でもあるのです。

近未来の「お金がその価値を失う時代」を見据えた生き方については、以下の記事で書いていますので、是非参考にお読みください。

参考:余りにも多過ぎる貯蓄や貯金は無意味。お金の価値が無くなる前に使いましょう

人々の止まる所を知らない自己承認欲求が消費文化を進化させ、モノ消費の隆盛を生み、そしてコト消費を経て、1億総アイドルへと至る。大衆の果てしなく増大した自己承認要求が生み出す日本の消費文化の終着点がまもなく訪れようとしています。

以上、「経済成長期:モノ消費→現在:コト消費→次の消費文化:1億総アイドル時代」の記事でした。

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